この土地に来て、最初に驚きと癒しを私にくれたのはネコでした。
ある日の朝。
窓から見える空がゆっくりと明るくなり、そして新しい一日が始まりました。まさか自分がこの土地のホテルの調理場に勤務するとは夢にも思っていなかった頃で、オレンジ色の朝の陽ざしが輝きを放つなか、まだまだ旅人気分で歩いていた時のことでした。
ふと視線を感じたのでそちらに目をやると、
2匹の白黒がこちらを見ていました。
「おはよう」と声をかけると、
「よそ者か?」という風に少し近寄ってきて、すぐにツーンと去って行きました。
この辺りには白黒が多いようで、後日違う白黒に出会いました。先日後ろのほうにいた白黒と同じかもしれません。
私を横目で見ながらツーンとすまし顔ですれちがって行こうとしたので、「おはよう」と後ろ姿に声をかけてみました。すると、その白黒は立ちどまり振り返りながらその場に座ると、「なんだお前か?」という感じでしばらく私を眺め、再び立ち上がって優雅にその場を去っていきました。
またまた後日、同じ白黒に出会ったので「おいで」と試しに声を掛けてみると、
なんと本当にこちらにやってきました。そして私の足にスリスリと何度かしてから、再び何事もなかったかのようにツーンと去っていきました。
この小さな交流は私に大きな喜びをもたらしました。その日の私は一日中上機嫌。大袈裟なようですが、動物とのふれあいはそのくらいのパワーがあるのではないでしょうか。
しばらく白黒たちの姿を見かけなくなり、おや?と思っていると、林や建物の裏のほうから仔猫の鳴き声が聞こえるようになりました。きっと皆さん、相手探しや子づくり子育てで忙しかったのでしょうね。そのうち仔猫にも出会えるのかな。
先日、とても警戒心の強い白黒に遭遇。私の姿を見るなり、不定期でカフェも営まれている素敵なお宅の素敵なお庭に駆け込んで、安全な距離を保ってからこちらをチラリ。
「あなた絵になるわね」と声をかけてパチリと一枚。
きっと見出し画像の白黒と同じだと思います。あの日も私の姿を見るなり林に逃げ込み、草木の隙間からこちらの様子を伺っていました。そしてあの日も私は「失礼」と声を掛けて一枚撮らせていただいたのでした。
ちなみにもう一度アップすると、
うん。やはり同じですね。
それにしても白黒だらけ。きっとみんな一族なのでしょう。
だから私の中で彼らはそのまま『白黒一族』。