The Society of Alternative Medicine from 1987/代替医療学会

Structured Micronutrient:US PAT/TH FDA(Med), JP FDA(Food)

アルコールは万病の元

2018-04-16 22:40:16 | 健康

新しい出会いに満ちたこの季節。新歓コンパをはじめ、飲酒の機会が増える社会人も多いだろう。夜ともなると、リクルートスーツをまとった男女が道端や駅ホームのベンチに寝転がっている姿もちらほら。

 酒に酔って楽しい気分になるのも悪くないが、体調を崩してしまっては元も子もない。アルコールを摂取しすぎると、まず睡眠障害のリスクが増す。

 アルコールは入眠を促進するが、睡眠中に目が覚める中途覚醒や、早朝に目が覚める早朝覚醒も多くなり、全体として睡眠の質が低下する。これは、アルコールが体内で分解されるときに発生するアセトアルデヒドが原因だ。

 たとえば、ビール中びん1本もしくは日本酒1合のアルコールであれば、肝臓が代謝するには普通1時間かかるため、寝るまでに3時間ほど空けないと睡眠に影響が出る可能性がある。

 アルコールによって睡眠時に無呼吸になるリスクも大きくなる。熟睡できなければ、体の疲れが取れず疲労がたまり、背中や肩や筋肉などのコリが取れず、慢性的に体が痛い状態が続いてしまう。

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1週間にビール中びん6〜7本が限度

 飲酒に伴うリスクを見積もり、飲酒量の目安を示す動きがある。イギリスでは、週に14ユニット以上のアルコール摂取を避けることが推奨されている。1ユニットは純アルコール8グラムを表すため、14ユニットでは112グラムになる。

 ビール中びん1本(500ml)だと純アルコールが20グラムになり、6本飲むと14ユニットを超える。ワインボトル1本(750ml)だと72グラムになり、2本目を半分空けたところでほぼ14ユニットを超えてしまう。日本酒1合(180ml)だと22グラムとなり、5合飲めば14ユニットに達する。これ以上の量を習慣的に服用すると健康への害が無視できないという。

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 一方、日本のガイドライン(厚生労働省)では、「1日平均純アルコール20グラム程度」が節度ある飲酒量とされている。1週間で140グラムということは、ビール中びん7本、ワインボトル2本、日本酒7合が限度になる。

 イギリスにせよ日本にせよ、この目安を知って内心ビクッとした方もいるのではないだろうか。もし体の調子が上がらないとしたら、それは飲酒が原因かもしれない。

 酒を長期間、日常的に飲み続けると、他にも体のあちこちに影響が出る可能性がある。アルコールは神経に対する毒性があるため、足先や手先がしびれたり(末梢神経障害)、認知機能の障害を起こしたり(中枢神経障害)する場合がある。男性ホルモン(テストステロン)の分泌量を減らす作用もあり、性欲が減退するだけでなく、骨粗しょう症や筋肉量の減少、意欲の低下などを引き起こすこともある。

 アルコールは体を痛める原因となるのだ。こうした持続した体の痛みは慢性疼痛とも呼ばれ、海外では「病気」とみなされている。

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飲酒は腰や膝を痛める

 さらに、アルコールは食欲を増進させるため、つい食べ過ぎてしまうことがある。食べ過ぎによる体重増加は、特に下半身への負担増となり、腰や膝が痛む原因にもなる。

 筆者の元を訪れた60代の男性患者は腰と膝が痛いと訴えていた。男性は筆者の元を訪れる前、大学病院も含め多くの医療機関で検査を受けたが、特に大きな異常は見つからず、鎮痛薬や湿布を処方されただけだった。だが、ほとんど効果はなかったという。

 こうした事情を聞いた筆者は、男性の状況を詳細に把握する必要を感じ、時間をかけて診察した。

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 この男性は海鮮料理を主としたレストランのオーナーシェフだった。毎朝6時頃に魚市場に出かけ、寝るのは夜11時頃という日々を送っていた。シェフだけに立ち仕事が多く、かなりの重労働を若い頃から続けてきたためか、年の割にガッシリした体つきで筋力も十分にあった。ただ、40代半ばから徐々に体重が増加し、筆者の元を訪れた頃には90キロを超えていた(身長175センチ)。

 男性が太った原因――。それは彼の日課にあった。風呂上がりの就寝前、レストランの食事の余りものをつまみに、350mlのビールを2缶飲んでいたのだ。

 習慣とは恐ろしいもので、仕事を終えて片づけが済んだ後、ほっと一息つくために始めたものの、気付けば休日も含めて毎日飲んでいたという。聞けば、アルコールが好きなわけではなく、気持ちを切り替えるために飲んでいるとのことだった。

 そこで、仕事中に気分を切り替え、かつ体が固くなるのを防ぐために、簡単なストレッチング(1回3分程度)を1~2時間ごとに行うことと、ビールをノンアルコールのものに替え、つまみも少なめにするように指導し、2カ月後に再診に来るよう伝えた。

 再診に訪れた男性は診察室に入ってくるなり、満面の笑みを浮かべて開口一番こう言った。

 「先生、とても楽になりました。膝や腰の痛みもそうなんですが、体中が楽になりました。朝起きたとき、こんなにすがすがしく感じられるのは久しぶりです!」

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酒は…されど万病の元

 男性はノンアルコールビールに替えて、つまみもほとんど食べなくなった。体重も2カ月間で7キロ減り、熟睡できるようになったという。男性自身には熟睡できていないという自覚はなかったが、熟睡できるようになった今では以前の眠りが浅かったと感じているそうだ。

 健康に対する男性の意識は向上し、3回目の診察時には「もう少しやせたい」と希望した。筆者は漢方薬の処方以外は何もせず、男性はその後ほぼ完全に体が痛まなくなったという。

 この男性に限らず、酒を減らしたりやめたりするだけで、「熟睡できるようになった」「全体的に体調が良くなった」と話す患者さんがたくさんいる。

 「酒は百薬の長」とよく言われるが、その後に「されど万病の元」と続くのはあまり知られていないようだ。

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https://toyokeizai.net/articles/-/216648

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/酒

 

「酒は百薬の長」はウソ? 「まったく飲まない人が一番健康」という研究データ発表

https://health.goo.ne.jp/news/743

 

「酒は百薬の長」と言われてきたが カナダ、豪州の研究で完全否定

http://agingstyle.com/2016/04/16001040.html


歯周病と肺炎死

2018-04-16 00:38:25 | 健康

永久歯は、全て生え揃うと32本になります。ただし、前から数えて8番目の歯、通称「親知らず」は、現代人ではきれいに生えないことが多くなっています。場合によっては生えないこともあります。よって、永久歯の本数は、28本~32本になります。

 

高齢になっても自分の歯で食べたい

 80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという「8020運動」というものがある。日本歯科医師会が中心になって設立した8020推進財団が提唱している運動で、厚生労働省の調査(※1)によれば日本人の歯の喪失率と本数は減少傾向にあるようだ。8020運動が奏功しているのかもしれない。

 減少傾向にあるとはいえ、自分の歯(永久歯)を1本でも失った人の割合は、50~54歳で61.5%、60~64歳で79.2%、70~74歳で87.4%、80~84歳で93.8%となっている。失った歯の平均本数は、50~54歳で2.0本、60~64歳で4.6本、70~74歳で8.6本、80~84歳で12.9本であり、80歳以上の高齢者では約半分の歯を失っていることになる。

 歯にも寿命があり、70歳前後になると自然に抜ける歯も出てくる。それ以外の抜ける原因は、主に歯周病と虫歯だ。厚生労働省のホームページ「歯の喪失の原因」(2018/04/14アクセス)によれば、40代から歯周病による歯の喪失が増え、全体として60代に抜歯本数のピークを迎える。

 歯の寿命を長くするためにはどうすればいいのだろうか。前述した8020推進財団のホームページによれば、定期的に歯科検診を受け、自分の歯の健康状態を把握し、細菌が繁殖しやすい歯石などを除去し、歯周病などの治療を受けることなどが重要となる。また、口の中を清潔に保ち、適正な歯磨きや歯肉マッサージ、食事の際の咀嚼回数などにも気をつけるべきだ。

 

タバコは歯周病のリスクを高める

 歯周病は単に歯を失うだけではなく他の病気になるリスクも高める。

 よく知られているのが糖尿病だろう。歯周病は2型糖尿病と糖尿病性腎症の凶悪なリスク因子だ(※2)。脳卒中などの心血管疾患との関連も疑われている(※3)。歯周病の患者は、虚血性心疾患やアテローム性動脈硬化症などのリスクが高まるようだ。

 喫煙も歯周病のリスクを高める。タバコを吸う人はそうでない人に比べ、タネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)という歯周病菌が口の中に多いことが知られているが(※4)、禁煙者と比較した疫学調査でもタバコが歯周病のリスクを高めるという多くの調査研究がある(※5)。ただ、心疾患との関係では、喫煙などが歯周病の交絡要因になっているのではないかという指摘もある(※6)。

 いずれにせよ、歯周病が炎症を引き起こし、それが健康に対して様々な悪影響を及ぼしている可能性は高い。前述したもの以外では肺炎を引き起こすことが知られ、口の中を清潔にすると高齢者の肺炎リスクを下げる効果がある(※7)。

 歯周病は高齢者が歯を失う大きな理由だが、歯の損失と肺炎の死亡率との関係について新しい研究論文(※8)が米国の科学雑誌『PLOS ONE』オンライン版に出た。これは名古屋大学や九州大学などの研究者による疫学調査で、日本全国の歯科医師が協力してデータを蓄積しているコホート研究「LEMONADE Study」を使っている。

残った歯の本数と肺炎死の関係とは

 研究者は、2001~2006年のデータ(親知らず以外の失った歯の数、生活習慣、健康状態についてのアンケート調査、1万9775人、51.4±11.7歳、男性92.0%)をこのコホート研究から入手し、肺炎による死亡率との関連を調べた。

 ハザード比(HR)は、性別、年齢、BMI、喫煙状況、運動、糖尿病履を調整して出した。また咀嚼力減退による影響をなくすため、誤嚥性肺炎による死亡は除いている。経過観察期間の9.5年(中央値)の間の肺炎による死亡者は68名だった。

 その結果、歯を失う本数に応じて肺炎の死亡リスクが有意に上がることがわかったという。全ての歯を失った人は半分まで(0~14本)しか失っていない人に比べ2.07倍のリスクがあり、15~27本の歯を失った人の場合は同じく1.60倍のリスクがあることがわかった。これを1本あたりのリスクに換算すると1.031倍となり、失う歯の本数が増えるほど肺炎死のリスクも上がるようだ。

 なぜ歯を失うと肺炎になるのだろうか。研究者は、歯周病による炎症により肺炎が引き起こされやすくなるのではないか、歯周病菌とその酵素が肺の組織に何らかの悪さをするのではないか、歯を失ったことで咀嚼力が落ち、栄養不足になったことが影響しているのではないかなど、いくつかの原因を考えている。

 歯を失う原因は歯周病だけではないが、高齢になってもなるべく多くの歯を残しておきたい。若いうちからオーラルケアに気をつけておけば、年をとっても自分の歯で食事を楽しむことができ、それは栄養摂取も含めて様々な病気のリスクを下げるはずだ。

 

※1:厚生労働省:平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要(PDF:2018/04/14アクセス)より

※2:Aramesh Saremi, et al., "Periodontal Disease and Mortality in Type 2 Diabetes." Diabetes Care, Vol.28(1), 27-32, 2005

※3:Armin J. Grau, et al., "Periodontal Disease as a Risk Factor for Ischemic Stroke." Stroke, Vol.35, Issue2, 496-501, 2004

※4:J J. Zambon, et al., "Cigarette Smoking Increases the Risk for Subgingival Infection With Periodontal Pathogens." Jouranl of Periodontology Online, Vol.67, No.10s, 1050-1054, 1996

※5:D F. Kinane, et al., "Smoking and Periodontal Disease." Critical Reviews in Oral Biology & Medicine, Vol.11, Issue3, 2000

※6:Peter B. Lockhart, et al., "Periodontal Disease and Atherosclerotic Vascular Disease: Does the Evidence Support an Independent Association?" Circulation, Vol.125, Issue20, 2520-2544, 2012

※7:Takeyoshi Yoneyama, et al., "Oral Care Reduces Pneumonia in Older Patients in Nursing Homes." Journal of the American Geriatrics Society, Vol.50, Issue3, 430-433, 2002

※8:Sino Suma, et al., "Tooth loss and pneumonia mortality: A cohort study of Japanese dentists." PLOS ONE, doi.org/10.1371/journal.pone.0195813, 2018

 

歯周病の原因 (日本歯周病学会)

http://www.perio.jp/qa/cause/

 

歯周病と糖尿病の深い関係(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)

http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/040/01.html

 

歯周病

https://ja.wikipedia.org/wiki/歯周病

 

歯周病の治療について(歯の寿命を延ばす会)

http://www.dentallife.info/treatment