水道水から人の体内に入ってくるプラスチック粒子は、年間3000~4000個に上る恐れがあるとする研究結果が6日、発表された。14か国で収集したサンプルに基づく結果だという。
プラスチック粒子を体内に取り込むことによる健康リスクは不明だが、過去には、害を及ぼす可能性のある化学物質や細菌がこれら粒子に吸収・放出される可能性があるとの研究結果も発表されている。
研究の多くは、湖や川、海、大気などを対象にプラスチックごみ汚染の影響を調べたものとなっているが、実際に人が飲む水に光が当てられることはこれまでなかった。水道水を対象とした今回に調査について、研究チームは世界初と主張している。
水道水サンプルの収集期間は今年の1~3月で、採取した場所はウガンダのカンパラ、インドのニューデリー、インドネシアのジャカルタ、レバノンのベイルート、エクアドルのキトの各首都および米国と欧州7か国の複数の都市だ。
全てのサンプルは、米ミネソタ州ミネアポリスにあるミネソタ大で分析された。
分析の結果、見つかった粒子の大半は、長さが0.1~5ミリのプラスチック繊維だった。水道水1リットルに含まれる粒子は0~57個で、平均すると1リットル当たり4.34個だった。
「水道水の単位体積当たりのプラスチック粒子密度が最も高かったのは北米で、最も低かったのは、総合的に欧州7か国だった」と、研究チームは記している。
その他の飲食物からも摂取
男性の場合、1日の飲料水摂取量として推奨されている3リットルを基準とし、飲み物をすべて水道水か水道水で作ったものにすると、毎日14個のプラスチック粒子を摂取する可能性があると、報告書の執筆者らは説明している。女性では、同2.2リットルの摂取で1日当たり約10個の粒子を体内に取り込むことになる。
「この日々の粒子摂取量は、1年間では、男性で4000個以上、女性では3000個以上となる」と研究チームは報告書に記している。
さらに「これらのプラスチック粒子は、海塩、ビール、シーフード、その他の食品によって摂取される可能性のあるプラスチックに追加される」ことも指摘された。
1月に発表された研究では、欧州で甲殻類を食べている人の場合、それだけで年間最大1万1000個のマイクロプラスチックを体内に摂取している恐れがあるとされた。
研究チームは、潜在的な汚染源および汚染経路、そして人の健康リスクなどに関するデータをさらに収集するために調査を重ねる必要があると呼びかけている。
http://www.afpbb.com/articles/-/3142010?page=1
マイクロプラスチック(microplastics)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%83%E3%82%AF
ペットボトルの水の93%はマイクロプラスチックを含んでいることが判明。WHOが検証へ
https://www.gizmodo.jp/2018/03/report-finds-microplastic-in-93-of-bottled-water-tested.html
洗料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題(兼廣春之/大妻女子大学)
http://www.env.go.jp/water/marine_litter/08_HaruyukiKANEHIRO.pdf
マイクロプラスチック問題について(平成28年度海事問題調査委員会報告書)
http://www.kaiyo-kai.com/cms/wp-content/uploads/2017/02/170225_kaimon-H29-3-Honbun.pdf
マイクロプラスチック、ほぼ全ての食卓用海塩に含有。各国での研究で判明。飲料水汚染に続く「グローバル汚染」が明瞭に(一般社団法人環境金融研究機構:RIEF)
http://rief-jp.org/ct12/72592