風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第一部) 其の八

2010-01-28 21:38:25 | 大人の童話

周りでは、大勢の子どもたちが、四小のことなど知らぬげに、ワーワー言いながら

遊んでいます。夢は不思議に思いました。

”こんなにたくさんの子がいるのに、四小さんとお話しているのはわたしだけ?

みんな、何で四小さんに気づかないのかなあ。みんな、四小さんとお話できたら

楽しいのに。”

すると、四小の声が聞こえました。

「夢ちゃん夢ちゃん、何してるの。もう、始業のチャイム鳴ったわよ。」

夢がぼーっとしているので、心配になって声をかけたのです。

四小の声に、はっと我にかえった夢は、

「わぁ、大変。ほんとだ、もう誰もいなくなっちゃった。四小さん、またねー。」

そう言って四小に手を振りながら、急いで教室の方へ走っていきました。

四小はそんな夢の様子を見て、

”うふふ、これから楽しくなりそうね。”

と、つぶやきました。そして、うれしそうに体をブルッと震わせ、一瞬大きく光って

消えていきました。