風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第一部) 其の拾壱

2010-01-31 13:31:29 | 大人の童話

夢は学校が好きでした。毎日、学校に来るのが楽しみでしようがありません。

勉強するのも、友だちと遊ぶのも好きでしたが、やはり何といっても、一番の

楽しみは四小に会えることでした。

授業の合い間の休み時間は、たったの十分ですが、夢は他の子たちに混じって

きまって外に出ていきました。靴をはきかえ、校庭に散っていきます。

夢はまっしぐらに鉄棒に向かって走っていきました。そう、さか上がりの練習に

いったのです。何回も一所懸命練習しましたがうまくいきません。そのうち厭きて

うんていにいきました。鉄棒は苦手の夢ですが、うんていは得意です。

端から端まで、落ちずに渡りきることができます。今日もいつものように遊んで

いました。もう少しで渡りきれるというその時です。急に四小の声がして

びっくりした夢は、うんていから落ちてしまいました。

「いったあい。急に声かけないでよ。」

夢はふくれっつらをして言いました。もう少しで渡れるという所で落ちたので

悔しかったのです。