風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第一部) 其の拾

2010-01-30 22:09:06 | 大人の童話

ある日の体育の授業のこと、先生が、

「今日は、鉄棒でさか上がりをやります。」

と言いました。夢は、さか上がりができません。

「え~っ、やだなぁ」

と、不安になりました。すると、校庭の向こうに見える校舎が光り始めました。

”あっ”

と思い、光の方を見ると、まもなく声が聞こえてきました。

「大丈夫よ、できなくたって。夢ちゃんは、まだ一年生でしょ。これから練習して

できるようになればいいわ。」

夢の想いを汲み取ったかのような四小の声でした。

「本当?まだ、できなくてもいい?」

「ええ。」

「よかった。じゃあ、これからいっぱい練習して、できるようにするね。」

「そうね。がんばって。」

「うん。ありがとう、四小さん。」

夢が笑顔で四小にお礼を言うと、光は安心したようにスーッと消えていきました。