入学式が終わり教室に戻る時、夢はちょっと上を見上げました。
四小がお祝いしてくれているような気がしたからです。夢は明日からの学校生活が
待ちどおしくなりました。プールも体育館も無い学校、でも校庭は広く遊び道具も
十分あります。38人のクラス仲間といっしょに、たくさん勉強してたくさん遊ぼうと
思いました。そしてもう一つ、学校に来る一番の楽しみになりそうな四小との語りあい、
夢はわくわくしてきました。
入学式が終わり教室に戻る時、夢はちょっと上を見上げました。
四小がお祝いしてくれているような気がしたからです。夢は明日からの学校生活が
待ちどおしくなりました。プールも体育館も無い学校、でも校庭は広く遊び道具も
十分あります。38人のクラス仲間といっしょに、たくさん勉強してたくさん遊ぼうと
思いました。そしてもう一つ、学校に来る一番の楽しみになりそうな四小との語りあい、
夢はわくわくしてきました。
「うわー、きれい。校舎がキラキラ光ってる。それに、なんだか暖かい。」
四小の体全体からあふれ出る光は、この世のものとは思えない美しさでした。
やがて、あふれんばかりに四小を包んでいた光は、ゆっくりと静かに消えて
いきました。すべての光が消える間際、四小の声が響きました。
「六年間、いっしょに楽しくやりましょうね。あなたの方からわたしに会いたくなったら、
校庭に立って、わたしに会いたいと強く思って。そうすれば、また必ず会えるわ。」
瞬間、光は消え校舎は元の姿に戻り、あたりには、新入生とその保護者の
ざわめきだけが聞こえていました。
みなさん、こんにちは。
私は、戸久野第八小学校といいます。物語の一方の主人公、四小の妹です。
四小の八つ下の、昭和46年生まれです。実は、私はこの3月で閉校になります。
すごく寂しいけれど、いろいろな事情で仕方がない・・・・・・です。う、でも・・・・寂しい。
この39年間、私はたくさんのことを見てきました。39年の間に、私からたくさんの
子どもたちが巣立って行きました。その多くは、今ではもう立派な大人になって
います。今、私の所にいる子どもたちは、二十何人という、本当に少ない数ですが、
私は、最後まで子どもたちを、静かに優しく、そしてしっかりと見守ってゆきたいと
思っています。
どうか、私から巣立った子どもたちが、ずっと私のことを覚えていてくれますように。
そして、一小の姉から十小の妹が幸せでありますように。
平成22年1月24日
四小はちょっと考えたあと、
「人は、自分たちが造った物には心など無いと思っているわ。たとえば、
わたしたち学校の校舎なんて、ただの箱・入れ物と。でも、違うの。
人が造った物でも、皆心はあるの。ただのコンクリートの校舎でも心はあるのよ。
わたしは造られてから今まで、ずっとこうして子どもたちに語りかけてきたわ。
でも、誰も気づいてくれなかった。あなたが始めてよ。ありがとう、気づいてくれて。
うれしいわ。」
と、本当にうれしそうに言いました。そして、更に大きな光で
自ら体全体を包み込みました。
「入学おめでとう。これからよろしくね。」
それは四小の声でした。四小は暖かな眼差しで夢を見つめていました。
夢は驚きながらも、なぜか心うきうきして聞きました。
「あなたはだあれ?」
「わたし?わたしは四小よ。わたしは、校舎の精霊なの。」
「へえー、そうなの。」
夢はにこっと笑って言いました。