大好きなJohn Byrneの描いた2冊分で一つの画になる表紙が印象的な、1985年に出版されたWeb of SPIDER-MAN (WSM) とAmazing SPIDER-MAN (ASM) 268号を読み終えたのでレビュー。
WSM 6号の筋書をDanny Fingeroth、構図をMike Harris、仕上をMike Zeck、Dave Smmons、Jim Mooneyが、267号の筋書をTom DeFalco、画をRon Frenz、インクをJosef Rubinsteinがそれぞれ担当。
WSMの画は上記のように大勢で担当しているので品質にバラつきがある。恐らくZeckが担当していると思われる前半の画は凄く良い。WSMの画には関してはは期待していなかったのでお得感あり。
粗筋をまとめる。強力な力を持つ地球外から来た生命Beyonder。彼は人間であれば誰しもが望む金融財産を人々に与えるため、ビル1棟を全て金塊に変えてしまった。ビルは重さに耐えられず崩壊。ビルの中にいた人をSPIDER-MANは身を粉にして救う。しかし政府の役人が金塊の一部を報酬としてギャングの親玉Kingpinに渡している現場に彼は遭遇してしまった。
今回も気に入った台詞やシーンを書いていく。SPIDER-MAN の正体Peter Parkerの金欠病は今に始まったことではない。そんな彼の嘆き。”Even the smallest piece (金塊の一部) could solve all my money problems.” その後に彼の伯母さんも金銭的な問題を抱えていることがわかる。
この場所から追い出すため銃弾の雨に晒されるSPIDER-MAN。お礼をくれても良いのにという台詞の後の彼の台詞。”They offered me lead instead of gold.”勿論日本語でもこういう台詞は言えるだろうが、単純な言葉で表現できる英語って面白い。Leadは弾丸の材料の鉛。
そんな布石を打って、WSMの最終2ページ。政府の役人Andersonに金に変わったメモ帳を報酬として貰うことを宣言したSPIDER-MAN。物語はASM 268号へと続く。
金塊に変わったタイプライター数台がKingpinへの見返りだったのだが、彼はそんなはした金で満足しないことが彼の部下、The Arrangerの台詞でわかる。”He’s entitled to a share of the gold.” 金塊の数パーセントをKingpinは要求しているのだ。それもこの言い方だと当然の権利のようだね。
その後の経過は、アメリカ海軍の戦艦をKingpinの部下がハイジャックしてそれに積載した金塊を奪おうとする展開。ちょっとこれは行き過ぎだな。ここまでしないだろう。Kingpinだったらもっと頭を使うと思うな。海軍の軍人でも適わないKingpinの部下をSPIDER-MAN一人で倒しちゃうのもどうかな。
ビル一棟分の金塊で経済が崩壊するかはわからないが、この話は価格決定の仕組みをわかっていると面白い。最後のSPIDER-MAN の台詞。”For a guy saved the economy of the world, I seem to be having an awful lot of trouble my own finances?” WSMでの嘆きが上の句だとしたら、ASMのこの台詞は下の句だな。結局彼は勝手にいただいた金塊を換金できずというオチ。