アメコミとラーメン

1980年代後半のアメリカがわかるSPIDER-MAN



引き続き1980年代のThe Amazing SPIDER-MAN (“ASM”)を買い付け中。今回は302号を手に入れたのでレビュー。302号の状態はVF- (新品同様NMから2段階下)と書かれている。中身の状態は良い。1988年7月号。一つ飛ばして304号もついでに紹介。

筋書をDavid Michelinie、画をTodd McFalaneがそれぞれ担当している。304号のインクはJoe Rubinsteinが担当。McFalaneがインクまで入れている方が彼の画っぽいのだが、Rubinsteinのインクの方が、すっきりしていて読みやすい。

粗筋をさらっと紹介。302号から。カンザスの研究所がPeter Parkerを研究員として採用したがっている。面接を兼ねその研究所を訪ねたPeter。そこで彼はNero博士の悪巧みに遭遇する。否応なくそれを阻止するSPIDER-MAN。304号。SPIDER-MANの写真集を出すことになったPeter。販促のためロスアンゼルスへと飛んだ。パーティーの会場で目撃したのは泥棒Black Fox。

今回も気に入ったシーン、台詞等を紹介。何と言ってもMcFarlaneの画力を再確認してしたこと。彼が何と思うが画は上手い。Marvelを離れたことが残念でならない。もう1回SPIDER-MANを描いて欲しいな。

この研究所の建築責任者のWessが超人的能力の持ち主。しかし、Neroの開発した特殊スーツの力にビビッて、彼は何もできない。そして彼にSPIDER-MANがかけた一言。”I might have done the same thing if I’d been born in your shoes. (中略)And then we live with it.” この間の映画Homecomingでも触れたが、ヒーローがヒーローであるには何か動機みたいなものがある。SPIDER-MANの場合、Ben伯父さんの死がきっかけで伯父さんの教えが活きてくるわけだが。それがないWessが結果何もできなかったことをSPIDER-MANは責めていない。ただし、その結果については責任を持たなければいけないことを後半部分で言っている。さりげない言葉なんだけど、重要だな。

ASM 302号の最後で、カンザスの研究所に行きたいPeterと、友達がニューヨークに沢山いる妻Mary Janeとの立場の違いを鮮明にした最終コマが盛り上げるな。次の303号は読んだことがあるので(そして完全に内容を忘れた。)、どうなったか気になるが追わない。

ASM 304号。まずは、添付画像左下の四角い枠に注目。当時アメコミは2つの流通網を持っていて、この本はコミックブック専門店用の本。もう一つの方にはこの四角の中にバーコードが印刷してある。恐らくMcfalaneが面白がって蜘蛛糸で号数を書いている。

ロスアンゼルスでPeterとMJ(ASM 300号で結婚したばかり。)がディズニーランドを楽しんでいるページがある。この号が発売された1988年から20年以上経った2009年にまさかDisneyがMarvelを買うとは誰も想像していなかっただろうな。後ろの方にディズニーキャラが目立たないように描かれているのが慎ましい。

この当時May伯母さんは、アパートを運営している。ここで驚いたのは、彼女が洗濯物を干しているシーンがある。この当時のアメリカでは洗濯物を外で干しても良かったのか。

パーティーでキャビアののったクラッカーがPeterの嗜好には合わないこと示したシーン。”Don’t suppose you have any spam on a Ritz?”この当時のspamは文字通りハムの缶詰を指している。これでこそPeter。金持ちの設定がようやく終わって一安心だ。
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