奈良の鹿
奈良市、特に春日大社、東大寺、興福寺や奈良公園を中心に見られる鹿は奈良のシンボル的存在です。
人によく馴れ、奈良公園周辺の路上売店で売られている鹿せんべい を貰う際にお辞儀する愛らしい仕草を見せる奈良の鹿は古来から飼われているものではなく野性種です。
もともと古来より大和国一帯に生息する鹿でしたが、万葉集にも奈良の鹿の歌が詠まれ、中臣鎌足(藤原鎌足)の子、藤原不比等が平城京遷都に伴い春日大社の前身、春日社創建の折、祭神である建御雷命(タケミカヅチノミコト)が常陸国(現在の茨城県)の鹿島神宮から遷る際に白鹿に乗って御蓋山(みかさやま)に降りたとされ、以来、鹿は神鹿(しんろく)として崇められるようになりました。
鹿のお辞儀…
藤原氏が天皇家との繋がりが深まり、権勢も大きくなるに従い、輿に乗った人が降りる際に下々の人々がお辞儀をする姿を見ていた鹿が覚えたとされます。
終戦後には数を激減させましたが、人々の暮らしが豊かになるに連れて徐々に数を増やし、令和の現在には1000頭を超すまで回復しました。