映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の BD を観ました。
やっとツタヤで旧作扱いになったので100円で借りてきました。
スターウォーズは昔から好きなのですが、なかなか映画館に行く機会がなくてこのエピソードは初見になります。
前評判も何もほとんど情報を入れずに今まで我慢していたので世間の評価がどうなのかは知りませんでした。なんとなくCMとかで見かけた情報では最後に思いもかけない展開で驚かされたとかなんとか言ってたかなという程度です。
こういう名作は新作が出るたびにがっかりさせられることが多くて、以前の新三部作(ダースベーダーの若い頃のお話)はいまいちな印象でした。
今作もどうせ観客を驚かせることだけを考えたような陳腐な展開なんじゃないかとあまり期待してなかったのです。
でも、実際に観てみて、正直な感想は「とても良かった」です。
なんか、旧作ファンを喜ばせようとするための「いかにも」な押し付けがましい演出があちこちにあって「これってどうなの?」となんとなくもやもやした気分で観ていたものの、最後にはとてもいいものを観たような気分になりました。
その「いかにも」な演出が意外にもよかったんです。私はそういう押しつけがましいのはあまり好きではないのですが、この作品に限っては素直に嬉しいと思えたのです。
それに、単純に映画ファンとして嬉しかったんです。
それは、この映画が40年前の最新のSF映画の手作り感をそっくりそのまま再現してくれていたからです。
もうね、完全に旧三部作ファンを喜ばせるためだけに作ったような映画と言ってもいいくらいで、そのこだわりようがひしひしと伝わってきて感動させられました。
近年のほとんどの映画は CG を多用しており、目に映るものほとんどが CG で描かれているなんていう映画も多いのですが、そういう映画にはもううんざりしているんです。
CG ばかりで描かれた映画って、確かに綺麗だし迫力もあるし面白いとは思うのですが、どうしても何かが欠けているような、何とも言えない違和感をずっと感じていたんです。
昔の映画、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」もそうでしたが、近年の CG 主体で描かれたシリーズよりもはるかに魅力的で感動的でした。「フランケンウィニー」だって CG 全盛の時代に作られたストップモーションアニメで、その手作りの魅力は何物にも代えがたい素晴らしいものでした。
やっぱり、その「手作り感」に飢えているのだと思います。
そんな渇きをいやしてくれたのが、このスターウォーズの新シリーズ「フォースの覚醒」でした。
見る人によっては「古臭い」と感じる場面もあるかもしれませんが、古臭いから何が悪いというのでしょう。
昔観たあの時の感動がよみがえるような感覚。それって、同じ映像でも CG では絶対に不可能なんじゃないかと思うんです。人の手で、この世に存在する物体で作り上げるからこそ、人間として生きる上での大切なものがそこに見えてくるのではないでしょうか。本当の感動って、そういうものでなければ生まれないような気もします。
新三部作(エピソードⅠ~Ⅲ)もルーカス監督渾身の壮大で素晴らしい映画だったとは思いますが、全編通してフル CG なんじゃないかと思うくらいの CG による作り込みがすごくて、そういう意味で圧倒はされたものの、同時にその CG 故の陳腐さが際立つシリーズにもなってしまっていたと思います。だから、私は新三部作についてはそう何度も繰り返して観たいという気持ちにはなれませんでした。一度観て技術の進歩に驚いたらおしまいって感じでしょうか。どっかのテーマパークのアトラクションみたいなものですね。
そしてこの続三部作ともいえるシリーズの最初の作品「フォースの覚醒」は、見る前は当然ながら前作を上回るような CG てんこ盛りの映画に違いないと何の疑いもなく信じ込んでいましたが、その思い込みはいい意味で大きく裏切られることになりました。まさかここまでやってくれるとは思いもしなかったのです。
手作り感満載の映像に加え、旧三部作の主人公たちが次々と登場し、堂々とした演技をしてくれていたのもまた感動でした。彼らはもう老いすぎてかつての若々しいイメージなんて全くないのに、それでもこの最新作でメインで活躍するキャラクターとして登場してくれていたのです。ちょい役くらいならあり得るかなと思っていたのに、新しい主人公たちを食うくらいの勢いでしっかり登場していたのはすごいと思いました。いや、もう完全に食ってましたね。
でも、新しい主人公たちもしっかりと存在感を見せていて、なかなかよかったと思います。
物語の展開まで40年前の最初のエピソードをそのままなぞるかのような内容で、さすがにそれはやりすぎだろうと思ったのですが、もうそんなことはどうでもいいとさえ思えてしまいました。物語よりも、映画として何を見せるかということに徹していたと思います。戦闘シーンがかなり多かったのもそういうことだと思います。
スターウォーズシリーズなんて観たいから観るんじゃなくて、スターウォーズだから観るんだというくらいの、一ファンとしての義務とか消化試合みたいなものだと思って観始めた「フォースの覚醒」でしたが、思いもかけない良作だったと思います。スターウォーズファンでなくても、映画好きならぜひ観てほしい素晴らしい作品です。
2時間以上もの長編ですが、1週間のレンタル期間中に3回も観てしまいましたよ。1度目は英語音声のみ字幕なしで観たのですが、英語はほとんどわからなくても十分に楽しめました。2回目は字幕付き、3回目は日本語吹き替えで。BD をしゃぶりつくしました。
手作りだからこそ、何度観ても飽きないのだと思います。