三月のくまさんは、和茜のピンクです。
この糸は、デパートのイベント会場で、ディスプレイとして、
バスケットに盛ってありました。
「このピンクの糸をください!」
「それは、売り物ではないので、こちらはいかがですか?」
見せられたのは、西洋茜でした。
「そのピンクはちょっと…」そう断って場を離れようとすると、
「では、イベントが終わったら、送りましょうか?」
こんな経緯で、手に入れたのが、この和茜の糸です。
その後、届いた包みには、糸と一緒に茜染めのハンカチーフが
添えられていました。
その糸で、すぐにベストを編み、残ったひと掴みの糸が
数年を経て、くまさんになりました。