独白

全くの独白

不作為の罪

2020-07-27 22:22:42 | 日記

 昨日又、都内の駅のホームから、目の悪い人が落ちて亡くなった。

 其れに就いて都盲人福祉協会の人がインタヴューに応えていた。「盲人にとって駅のホームは非常に危険で、いつも薄氷を踏む思いだ。周囲の人から声を掛けて貰う事が必須だ。」

 60年以上生きて来て、初めて聞いた。偶、身近に盲人のいない私等は、座頭市や、百閒の随筆に描かれた宮城道雄等を知るばかりで、道でも駅でも白杖一本で涼しい顔で歩いて行く盲人を見ても、「成程、心眼とは見事なものだ、私も見えなくなった暁には、あんな風になれるのであろうか」などと暢気に思うだけであったのは、知らぬ事と雖も嘆かわしい。

 国でも何でも、多忙ではあろうが、この様な事の周知徹底にも勤しんで戴きたいものである。

 今日まで啓蒙される事なく来てしまった私等は、そんな場面で不作為の悪行を働いてしまう事が十分にあり得る。

 それは延いては、国や公の、不作為の悪行という事に為ろう。