投資家の目線

投資家の目線255(政治の会計問題)

 要約すると、土地の取得時期の記載が2か月余りずれていたことが、4月27日の検察審査会で小沢民主党幹事長の起訴相当とされた容疑内容である(議決の要獅ヘ鈴木宗男議員がムネオ日記2010年4月28日 で詳しく書かれています)。

 今回、石川議員らが起訴された原因である、政治資金収支報告書の収支額の多寡の問題は容疑内容から消えている。検察審査会というのは結構笑えるところのようだ。公認会計士の細野祐二氏が「新月島経済レポート2010年3月号『政治資金収支報告書』」で、小沢氏から陸山会が受領した4億円は「仮受金」の科目で会計処理すべきだ(他に「預り金」という見方もある)としていたように(政治資金規正法で「仮受金」や「預り金」勘定は開示対象となっていない)、収支額の記載問題で違法性を問うのは難しいと考えたのではないだろうか(なお、企業会計原則の貸借対照表原則で、仮受金、未決算等の勘定を貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならないとされている)。
 
 細野氏は、このような問題は部分単式簿記の限界からおきるので、完全複式簿記にすることで防げるのと主張されている。しかし、家計簿や小遣い帳のような単式簿記ならともかく、複式簿記で記帳するには、事務所に少なくとも一人は簿記をある程度理解している人を雇わなくてはならないだろうと思う。費用対効果を考えて、現実的にそのような対応ができるのか疑問が残る。

 ちなみに定期預金を担保とした銀行融資の件については、例えば日清食品HDは2009年3月期(連結ベース)で659億円の現預金を保有しながら、100億円の有利子負債がある(貸借対照表)。それには8,300万円の支払利息も発生している(損益計算書)。定期預金を担保に金利を支払って、銀行融資を受けたことがおかしいと感じるならば、日清食品HDもおかしな経営をしていることになる。

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