投資家の目線

投資家の目線388(衆議院の解散)

 先週の16日、衆議院が解散した。これはオバマ大統領の再選を受けての解散だと思う。
 アーミテージ氏が、ジョセフ・ナイ氏らとの共著「日米同盟VS.中国・北朝鮮」で「オバマ大統領には非常に不安を覚えています」、クリントン国務長官やキャンベル次官補については『伝統的な「勢力均衡」の考え方に基づくアプローチを取っています』と述べているが、後者の二人は次期政権から離れると報道されている。アーミテージ氏の考え方に近いのは後者であろう。

 2012年11月7日のWSJ日本版で、河野太郎氏が「いつまでもジャパンハンドだけ見ていると外交力が強まらない。むしろ、普通の国務省を相手に主張ができる日本になるためには、ジャパンハンドが独占している時代はもう終えてもいいのでは」と述べていた(【識者の見方】米国でも「決められない政治」続く可能性=河野太郎・衆院議員)。つまり、今までの米国との交渉窓口が影響力を失い、新たなルートの開拓の必要性が出てきているということだ。


 2012年11月12日のダイヤモンド・オンライン「TPPを経済面だけで判断してはならない! 政治的・社会的な意義まで含めて考えることが重要」で、伊藤元重教授は米国の識者が『「メキシコと自由貿易協定を結ぶ最大の目的は、米国の理念をメキシコに輸出することである。経済的利益は二次的なものである」と発言したのだ』と書いていた。今度の衆院選は「TPP交渉参加」が焦点とされているが、TPPも「米国の理念」の輸出と考えることができる。

 しかし、地域にはそれぞれ歴史があり、それが現在の社会状況に影響を与えているはずだが、それを考慮せずにただ「米国の理念」を輸出されれば社会に相当の摩擦を与えることになると思うが、そんな検討がなされた形跡がない。菅沼光弘元公安調査庁調査第二部長が著書「この国の不都合な真実」で、アメリカ財務省の招待で、「大蔵省だけでなく各省すべて、警察庁から検察、裁判官にいたるまで、次から次へとアメリカに留学させた。そしてアメリカン・ルールを叩き込んでいったのです」と述べていた。さらに「大学もそうです。昔は大学の有望な若手の留学先といえばドイツやフランス、イギリスなどヨーロッパが主流でした。それがいまはアメリカ一辺倒になっている」(同書)とも書いていた。アメリカ帰りの「エリート層」は「米国の理念」を受け入れるだろうが、そうでない人々までそんな「信仰」に付き合わされる義務はないだろう。


 今回は「争点がない」選挙に見えるかもしれないが、「新たな日米関係のあり方」というとても大きな争点があるように思うのだ。


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