投資家の目線

投資家の目線614(大阪府の証紙を廃止とフィンテック)

 大阪府が2018年10月1日付で手数料納付に使用する証紙を廃止し、窓口での現金納付に切り替える(「大阪府、証紙を廃止 来年10月から、現金納付に。」2017/3/28 日本経済新聞 地方経済面 兵庫)。同記事によれば、都道府県で証紙を廃止するのは3例目で(筆者注:東京都、広島県に続く)、コンビニエンスストアでの納付も検討しているという。大阪府の売りさばき人の手数料率は0.945%と全国で最も低く(宮城県 平成21年度行政監査報告書)、売りさばき側でも取り扱うメリットが小さいのかもしれない。

 前述の宮城県平成21年度行政監査報告書によると、歳入の収納は現金で行うことが原則だったが、昭和38年の地方自治法改正で証紙による収入方法が制度化されたという。証紙の印刷は独立行政法人国立印刷局に発注し、地元銀行や、県交通安全協会、県税事務所などが売りさばき所となっており、最も売りさばき高及び手数料額が多いのは県交通安全協会である。

平成21年度行政監査報告書 平成22年3月 宮城県監査委員
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/11205.pdf

 証紙による支払いは郵送ができたり、職員が現金を取り扱うことによる金銭的リスクを少なくできたりなどのメリットがあるが、県外居住者にとって購入が不便などのデメリットも指摘されている(同報告書)。また、地元銀行の支店網が再編されて、近所から支店がなくなれば証紙の購入も不便になるだろう。宮城県の県税の一部についてコンビニ、ペイジーシステムやクレジットカードによる納付もできるようになっている(同報告書)。また同報告書では東京都以外の16府県が何らかの見直しを予定・実施している(愛知県、京都府、岡山県、山口県では廃止見送り)。証紙に関する紙の使用量や印刷代は全体から見れば大きなものではないのかもしれない。しかしこの動きが全国に広まれば、新しい決済手段を提供できる業界にはプラス要因、製紙業界やインク業界にマイナス要因になることは間違いないと思う。
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