投資家の目線

投資家の目線826(インドの新型コロナ感染拡大のビジネスへの影響)

 新型コロナウイルスの感染が拡大しているインドで、アウトソーシング・サービスも課題に直面しているという報道があった。「インド企業や、同国で大量のスタッフを抱える西側諸国のハイテク企業は、従業員の病欠への対応、重症化した従業員向け酸素確保、他の従業員へのワクチン接種などに取り組んでいる。(中略)IBMは、インドの10万人以上のスタッフに対し、ワクチン接種を進めるとともに、医療面の管理を伴うホテル隔離などのサービスを提供している。(中略)インドの医療インフラがひっ迫し、すべての感染者の治療が難しい状況となる中では、家族がウイルスに感染した従業員は、家にとどまって家族の世話をする以外にほとんど選択肢がないと指摘する。(中略)アウトソーシング企業が他国の従業員に支援を依頼したり、感染していない地元のスタッフに残業代を払ったりしているケースもある。」(「【焦点】インド感染深刻化、世界のバックオフィスも試練」 2021/5/24 ダウ・ジョーンズ)という。外国のアウトソーシング企業は、従業員を守り、業務を継続するために相当のコストをかけているようだ。

 また同記事によれば、アウトソーシング・サービスにはコールセンターの運営、コンピューターコードの作成に至るまで、多様な事務作業があるという。英語圏でない日本ではコールセンターは関係ないと思うが、コンピューターのシステム開発や運営では影響が出るかもしれない。

 さらに、「多くの業界スタッフは昨年のパンデミック発生を受けて、既に在宅勤務をしているが、狭い場所に大家族で住んでいることが多く、労働環境が厳しくなっている。」(「【焦点】インド感染深刻化、世界のバックオフィスも試練」 2021/5/24 ダウ・ジョーンズ)とも指摘されている。日本では大家族は少ないが、家は狭いので在宅勤務の労働環境はインド同様に厳しいと言える。

 昨年、緊急事態宣言が出されたとき、日本のコールセンターでは大した感染予防対策を講じない中、多くの人が密集して働いていたことが報じられていた(『焦点:「在宅」遅れるコールセンター 感染不安でも企業が動けぬ事情』 2020/5/5 ロイター)。日本企業もインドの教訓を生かした方がよいだろう。
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