投資家の目線

投資家の目線90(サンスターのMBO)

 2月14日に、サンスターのMBOが発表された。YOMIURI ONLINE 2007/2/15では従業員持株会に追加出資を求め、MEBO(経営陣と従業員による共同買収)の性格を持たせようとしていると伝えている。株式が非公開化された場合、子孫にサンスター社の所有権を残したい創業家の人々ならともかく、定年後の従業員は持株をどうするのだろうか?上場廃止になったら持株の処分はしづらく、年金生活に入り生活資金が必要な元従業員や、元従業員が亡くなった後なら、その相続人には迷惑だ。MEBOをするなら、従業員持株を定期的に換金する方法を配慮しておく必要があると思うが。
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 4日のフジテレビの番組で、甘利経済産業相がサッポロHDに対するスティール・パートナーズのTOB提案について「サッポロへの経営改善提案がない」と発言していた。確かに、経営改善提案はあった方が良いと思うが、なくてもかまわないと思う。政治に例えれば、経営者は政権与党の政治家であり、株主は有権者である。スティール・パートナーズは「勝手連」程度の勢力はあるから、何らかの意見表明がある方が好ましいとは思う。しかし、政治における政策とも言える経営方針を、有権者である株主に提案させることを強制するのはナンセンスとしか言いようがない。例えば自民党が選挙で負けた場合、同党に投票しなかった有権者に対して対案を出せとは言わないだろう。
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 2007年3月1日の日経金融新聞に、「東証上場廃止、唯一の選択か」という、日興コーディアルグループの上場廃止問題に関する記事があった。上場廃止3社(西武鉄道、カネボウ、ライブドア)の共通点のうち、「正しく開示していれば上場資格が疑われた」、「代表者の刑事責任が問われた」というのがあった。ライブドアの件に関して言えば、まず、情報開示については資料が捜査当局に押収されたため、東京証券取引所は情報収集に苦慮していた(2006/2/12日本経済新聞朝刊)。もし、情報開示が必要であれば、当該企業も捜査当局に押収された情報に簡単にアクセスできる仕組みが必要であろう。
 代表者の刑事責任について言えば、会計問題ではないが先日虚偽登記問題で菱和ライフクリエイトの元社長は無罪判決が言い渡された。また、鹿児島県議選をめぐる公職選挙法違反については事件自体が捜査当局による捏造だったのではないか?とも思われるものもあった。日興コーディアル証券の会計処理問題についても初めに報道されてから監督当局による処分の発表まで1年近くかかり、刑事責任の有無が行政当局の裁量で大きく左右されているのではないかという懸念がある。このような状況では代表者の刑事責任が問われたことを上場廃止の要件にするのは危険なように思うが・・・。

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