投資家の目線

投資家の目線43(第二東京タワー建設候補地が墨田区に決まる)

 第二東京タワーの建設候補地が東京都墨田区に決定した。タワーの建設費は500億円、東武鉄道を中心に出資して特定目的会社を作り、放送局は各局10億円弱の預託金と一波当り年約2億円の使用料などを支払うと報道されている。しかし、NHKは多額の受信料不払いに直面している。フジテレビのライブドア株による損失は一時的なものだが、NHK改革の結果チャンネル数が削減され、空きチャンネルが広告料収入に依存するようになれば、長期的には今より経営は苦しくなろう。また、地上波デジタル化による地方系列局救済のことも考えておかなければならず、それらを総合的に考えると出資金や建設資金の調達やその後のタワーの経営はうまくいくのであろうか。
 なお、個人的にはキー局のテレビ番組を見る時間は減少した。民放の朝の情報番組を見るぐらいなら、金融経済情報チャンネルのブルームバーグTVを見るほうが、よほど有意義だからである。

 墨田区のタワー建設への期待は地元産業の低迷の裏返しとも報道されている。中小製造業の町からタワーを中心とした観光都市に脱皮しようというのだ。最近、墨田区にはクレーンが林立している。マンションを建てるのだ。高層マンションといえるのは曳舟地区ぐらいで、あとは高さ制限があるのか30メートルまでの小規模な低層マンションが主流である。2003年までの5年間に工場数が22%減少したというがその結果であろうか。また両国地区では昨年有名予備校も閉鎖されている。
 タワー建設予定地に隣接して、日立コンクリート(株)押上工場や、東京エスオーシー業平橋工場があるが、それらも移転すると考えるのが自然だ。そこには「生コン工場発祥の地」の碑が建てられているが、それは残してほしいものである。

日本経済新聞 2006/3/25夕刊、2006/3/31、2006/4/1朝刊
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