投資家の目線

投資家の目線44(談合は犯罪のはず)

 3月28日、水門工事に関してまた談合疑惑が発生した。それ以降、検査が入っている段階で、今後どういう展開になるかわからない。最近、新興企業の法令順守が問題とされているが、老舗企業のほうがマスコミで大騒ぎにならない分だけ問題だ。昨年6月に発生した橋梁談合、8月の汚泥再生処理事業談合、11月の成田空港談合、今年1月には防衛施設庁談合があり、さらに水門工事に関しては1979年に独占禁止法違反で公正取引委員会から排除勧告を受けた企業の大半が含まれているというし、トンネル設備でも検査が入った。そしてこれに関わっているのは老舗の大企業が主である。4月7日には国土交通省の公共工事の指名競争入札の原則廃止が報道されたが、期待したいものだ。
 もし、同一企業で談合を繰り返しているところがあれば、もはやそれは法令を遵守する意思がないと言える。昨年後半マンション偽装疑惑があったが、6月には三菱地所などが、湧水汚染があることを知りながら、購入者に知らせずに大阪でマンション(OAPレジデンスタワー)を販売した。また、明治安田生命は相互会社であるが、支払うべき死亡保険金を支払わないという生命保険の意義を失わせるような問題を起こし、行政処分を受けた。これも老舗企業の法令順守の姿勢を疑わせるものである。企業がそのような事件を起こさないように、経営陣を監視するのは株主(もしくは社員(従業員のことではない))の仕事だろう。

 公正取引委員会に関するものといえば、新聞社も自己防衛のためか最近「新聞の再販売価格と特殊指定維持」の記事がよく掲載される。最近、都心ではセキュリティーの充実した高層マンションが多数建設されているが、新聞は各部屋まで配達されているのだろうか?もし新聞が毎日1階の郵便受けに入れられているだけなら本当に各家庭に宅配されているといえるのだろうか?マイカー通勤の方なら、音声データの方が車の中でニュースを聞けて効率的ではなかろうか?日本国内でも人々の住環境は様々である。全国一律の宅配体制の維持より、新聞社も各顧客に最適な情報伝達サービス体制を考えていくべき時期だろう。
 また、大手新聞社で財務諸表をホームページで公開しているのは日本経済新聞社ぐらいであり、新聞社の経営状況はわかりにくい。1つの販売店が各社の新聞を取り扱う合売を推進したり、集金は銀行振込にしたりして合理化を図っているのだろうか?規制維持を主張するなら、まずそのような企業努力を推進していることをアピールして多くの賛同を得るべきだろう。現在の「新聞特殊指定の堅持」のやり方は、新聞社と国会議員の内輪だけで行われている密室の議論である。

P.S.
 「合売」を検索していて当時新聞販売店勤務の方(2000年末更新終了)のサイトを見つけました。大変興味深く拝見いたしました。
 公正取引委員会のホームページの独占禁止懇話会第173回会合議事録に新聞の特殊指定の見直しついての意見・質問が掲載されています。ご覧になってはいかかでしょうか?
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