投資家の目線

投資家の目線311(核廃棄物処理は難しそう)

 前回、日米共同でモンゴルに使用済み核燃料を貯蔵・処分する施設を建設する計画について記述したが、もう少し深く考えてみたいと思う。

 相手国が施設建設に反対の政権に交代したとき、あるいは無政府状態になったときに廃棄物処理が難しくなると思われる。特に無政府状態になった場合、施設の職員に生活物資を届けることさえ困難になるし、もし好ましくない勢力などに占拠された場合、核廃棄物が商売のネタにされるかもしれない。民主主義国家なら政権交代はありうることだし、現在のソマリアや中央政府があっても全国的に統治が及ばないアフガニスタンやリビア等の例を見ると、無政府状態も「ブラック・スワン」で片付けることはできないだろう。

 よって、この核廃棄物処理という気の遠くなるような長期プロジェクトを継続させるためには、賛成派の政権を長期にわたり支援し続けなければならない。かつて反共政策を売り物にアメリカから資金を得ていた政治家がいたようだが、このような工作には資金がかかる。かつ、反対派の強さに比例して工作資金の額も増加するだろう。そして、もし反対派が政権を獲得しそうになったら弾圧にするように仕向ける必要がある。日本は本来民主主義を支援する立場のはずだが、この場合「二枚舌外交」と国際社会から非難されようが弾圧を手助けしなければならない。そうしなければ核廃棄物は国内に溜まる一方だ。しかし、賛成派の政権に経済援助してもその政権が長く続くかどうかは分からない。エジプトはアメリカから多額の資金援助(ほとんどが軍事援助だったが)を受けていたが、ムバラク政権はあっけなく唐ウれてしまった。

 こう考えると核廃棄物貯蔵・処理施設は国内に作った方が、日本政府が強く掌握できるだけ好ましい。しかし、国内で最終処分場に名乗りを上げる自治体を出てくるのだろうか?地方の首長は選挙で選ばれる以上、一義的には地域住民に対して責任を持つはずだ。国策だからといって地域住民の反対するものを受け入れれば、それは地元民に対する裏切り行為である。

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・5月27日に那覇検察審査会が、交通死亡事故を起こした米軍属の男性を日米地位協定に基づき不起訴とした那覇地検の処分を不当とし、起訴相当と議決した。そのうえ同協定の改訂なども求めているという。米軍基地は本土にもあるのだから、全国的にもう少し大きく報道されてもいいと思うが。

・5月22日の日本経済新聞朝刊社説「TPP先送り「平成の開国」の看板が泣く」において、「TPPで足踏みする一方、菅首相は日中韓首脳会談では3カ国の自由貿易協定(FTA)に意欲を示す。改革から逃げて、優先政策が定まらなければ、日本への世界の同情は失望に転じるだろう。菅首相は背筋を伸ばし、開国の意志を貫くべきだ」という記述があった。2010年の日本からの輸出額は、国としては中国が1位、米国が2位、韓国が3位(輸入は中国が1位、米国が2位、韓国が6位)であった(出所:JFTCキッズニュース)。貿易額から考えると、TPPより日中韓FTAを優先させた方がより日本の利益に適うと思うが・・・。この社説を書いた人は、「日米安保で食ってる人」だろうか?
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