投資家の目線

投資家の目線677(小規模ビジネスとトランプ政権)

 先月末、近所の商店街で佃煮屋と散髪屋の2店舗が閉店した。両店とも店主が高齢だったので「引退」といった方がよいかもしれない。散髪屋の方は駅前なのでまた新しい店が入るかもしれないが、佃煮屋は駅から少し離れているので、新しい店はなかなか決まらないのではないだろうか?地元に密着した商店がなくなるのは、地域コミュニティーに悪影響を与えると思う。

 ニューズウィーク日本版2017年2月7日号「リベラルが見過ごすトランプ愛の源泉」(小暮聡子)に出てくるトランプ支持者の中には、高コストのオバマケアで経営が苦しくなった小規模の保険会社の経営者や、輸入品よりメイドインUSAを扱いたい中小メーカーの経営者がいた。茶会(ティーパーティー)の熱心な活動家は自営業者や弁護士で、大卒率も共和党の非茶会系支持者より高いと報じされていた(2013/10/28日本経済新聞朝刊 経済教室)。小規模ビジネスの経営者は、茶会の活動家層と被る。トランプ政権の熱心な支持者は地元に密着したティーパーティーのような地域エリートなのだろう。シャッター通り問題やホームレス問題等の地域の問題を痛感するのは地元住民であって中央のエリート層ではない。

 福島銀行の新社長は日本経済新聞のインタビューで『他県の金融機関との連携は。』と問われたとき、『「可能性はないわけではないが、やはり福島県のおカネは、福島県に落とすべきで、基本は県内での連携を考えている」』(「福島銀再建へ加藤新体制始動 早期に黒字化と復配を、県内の金融と連携進める。」 2018/6/22 日本経済新聞 地方経済面 東北)と答えている。また鈴廣かまぼこの鈴木悌介副社長は、「仮に小田原の費用の1割を、省エネや地元でエネルギーをつくることに充てれば、毎年30億円が市内に蓄積できる。そのお金を雇用対策や医療福祉に使えば、地域の活性化につながります。地元で事業している中小企業も元気になります」(「再生エネの伝道師(1)鈴廣かまぼこ副社長鈴木悌介氏―地産地消で地域再生(仕事人秘録)」 2018/4/11 日経産業新聞)と話していた。

 2国間で貿易収支の帳尻を合わせようとするトランプ政権は、鈴木氏らと同様に「地域におカネを落とす」取り組みをUSAという単位で行おうとしているように見える。
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