投資家の目線

投資家の目線243(道路独裁)

 「道路独裁」(星野眞三雄著 講談社)によれば、小泉内閣で道路公団は民営化されたものの、それが高速道路建設の歯止めにはならないようだ。一般財源化についても、自民党プロジェクトチームの座長だった谷垣元国交相によれば道路特定財源も8割ぐらいは道路に使うとのこと。麻生内閣の「1000円高速」も対象となるのがETC搭載車だけなので、それを所轄する天下り団体を儲けさせることになった。

 道路公団は道路を管理する民営の管理会社と独立行政法人の保有機構に分離されたが、保有機構の負債(平成20年度期末簿価 31.4兆円 「高速道路機構の概要 2009」債務種類別推移)の多くは政府保証債(同 13兆円)である。その他に政府保証のない財投機関債もあるが金額は少ない(同 3.8兆円)。両者ともバーゼルⅡにおいてもリスクウェイトが少ないため、銀行等の金融機関の購入意欲は高いだろう。そのため、市場の投資家による財政規律が働きづらい。MMF等の公社債投信に組入れられている場合もある。国家財政の問題では、国債だけでなく政保債も考慮すべきと思う。高速道路の問題は利用者以外にも関わる問題である。

高速道路機構の概要 2009
http://www.jehdra.go.jp/pdf/629.pdf

 なお公団民営化論議の頃の道路局長は、耐震偽装事件発生当時の国土交通省事務次官だった佐藤信秋参議院議員(自民党)である。

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・7日の「サンプロ」で、小沢民主党幹事長の資金管理団体の複雑な資金の流れに、マネーロンダリングや脱税の疑惑があるという人がいた。ライブドア事件の初期の頃、海外を通した資金の流れについてもそんな疑惑が報道されていたが、事件性はなかったようだ。複雑な資金の流れだけで疑惑を言い立てるのは学習能力がまったくないように思う。

・ZAITEN3月号は「君側の奸『宮内官僚』に群がる伝令役『宮内庁記者クラブ』」が面白かった。
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