投資家の目線

投資家の目線135(無議決権株の上場問題)

 1月9日の日本経済新聞朝刊によれば、東京証券取引所が4月をめどに無議決権株の上場制度を設けるそうである。新興企業を対象にするとも書かれているが、フリー・キャッシュフローがプラスで安定している成熟企業ならともかく、新興企業は成長のために設備投資資金が必要で、配当を支払っている余裕はないはずだ。配当も議決権もない株式を欲しがる投資家がどれだけいるのだろうか。
 かつて、ガバナンスをつかさどる議決権はResidual Claimとの関連で語られたが、無議決権株ではそのリンクがなくなると考えられる。もし、Residual Claimと議決権がリンクしないならば、Residual Claimとは関係ないが、ある程度リスクを負担する債権者も何らかの形でコーポレートガバナンスに関わっても問題はないだろう。
 また、もし無配などになったときに議決権が復活するのならば、それは今までの優先株とそれほど変わりはない。なお平成13年の商法改正では、第242条の優先配当されなければ議決権が復活するという条文が削除されている。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「ファイナンス」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事