年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、高い利回りを求めて信用力の低いハイイールド債を保有しているようだ。2019年度業務概況書には、信用リスクの項目で「2019年度において、国内債券及び外国債券について、運用手法の特性によりBBB格以上の格付を得ていない債券への投資を行っています」(p45)と記述されている。同概況書の運用受託機関等別運用資産額(2019年度末時価総額)(p103、104)を見ると、以下のマネジャー・ベンチマークのファンドはハイイールド債主体の運用だと推察される。
・ブルームバーグ・バークレイズ米国ハイイールド社債 2% 発行体キャップ・インデックス(ヘッジなし・円ベース)
野村アセットマネジメントⅥ 1,259億円
パインブリッジ・インベストメンツ 452億円
ベアリングス・ジャパン 462億円
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントⅡ 437億円
・ブルームバーグ・バークレイズ・ユーロ・ハイイールド社債 2% 発行体キャップ・インデックス(ヘッジなし・円ベース)
ティー・ロウ・プライス・ジャパン 438億円
UBSアセット・マネジメントⅠ 1,367億円
計4,415億円
2019年度末の運用資産全体の時価総額が150兆円なので、それらは全体の0.3%程度なので割合は高くないが、資産全体の額が大きいので金額自体は大きくなる。
今年9月17日に発行された日産自動車の外貨建て社債の、格付会社による格付は「投資適格」等級だったが、10年債の金利は4.81%で、「投資不適格の低格付け債並みだ」(『日産、苦渋の高金利調達 海外の「利回り狩り」が支え』 2020/10/16 日本経済新聞朝刊)という。ハイイールド債の信用リスクの問題は日本にとって決して他人事ではない。
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