投資家の目線

投資家の目線795(大阪堂島商品取引所と菅政権と維新の会)

 SBIの北尾社長が菅首相に取引所の一極集中リスク回避を提言した(『SBIの北尾社長「一極集中リスク回避を」、東証障害後に首相に提言』 2020/10/16 Bloomberg)。大阪堂島商品取引所はSBIが15%出資して株式会社化し、社長にはSBIのグループ企業の社長が就任して同社主導で現物や金融商品を扱う総合取引所になることを目指している(『堂島商取「総合取引所」目指す SBI主導で経営再建』 2020/10/12 時事ドットコム)。日本取引所グループに匹敵する総合取引所を作ることはSBIにとっても利益になる。東京証券取引所の大規模システム障害の直後の今なら特に、東京証券取引所の代替となる総合取引所の開設の必要性はコンセンサスを得るだろう。大阪堂島商品取引所の岡本安明理事長は、経済人・大阪維新の会の幹事長であり(経済人・大阪維新の会HP、平成30年5月30日現在)、菅政権が総合取引所化を後押しすれば、維新の会との関係は良好なものになるだろう。

 現在、大阪堂島商品取引所は農林水産省所管の商品取引所である。一方、株式など有価証券を取り扱うのは金融商品取引法で規定される金融商品取引所である。大阪堂島商品取引所が総合取引所化を目指すなら、金融商品取引所になる必要がある。デリバティブ取引は金融商品取引法で有価証券とは定義されていないが同法の規制対象とはなっており、金融商品取引所化されても金融商品取引法を適用するだけで済み、問題はない。現に、商品先物取引の商品の一部が大阪取引所に移管された時、それらには金融商品取引法が適用されるようになった。大阪堂島商品取引所の理事には官庁OBがいないので、金融商品取引所化にもそれほど抵抗がないのではないだろうか?商品取引業者にはグループ内に証券会社を保有している企業もある。東京商品取引所に残るエネルギー関連の先物取引が大阪取引所に移管されれば、商品先物取引法の適用対象もなくなるだろう。

2020/11/1追記:商品先物取引の豊商事は豊トラスティ証券に社名変更した。
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