かつて、通産省(現経済産業省)が「国際競争力強化法案」(その後「特定産業振興臨時措置法」)なるものを策定したそうである。自動車業界では、国際競争力を持たせるためにメーカーの数を絞り込もうとした。そのなかにあって、本田技研は通産省の妨害にもかかわらず四輪車を発売した。その後、本田宗一郎はその政策を主導し、通産次官となった佐橋滋(「官僚たちの夏」風越信吾のモデルともいわれる)と大ゲンカしたという。
企業にとって重要なのは消費者に自社の商品やサービスを売って利益を上げ、債権者や株主に適正なリターンを提供することである。そのため、企業にとって消費者の意向が官庁の意向に優先するはずである。しかし、通産官僚に消費者に受け入れられる企業かどうかを見極める目があったとは思えない。リゾートを目的としたグリーンピアの失敗等からすると、官僚の「志」で、その能力を補うことはできないようだ。その後世界的な自動車メーカーとなったホンダを見ると、「国際競争力強化法案」が通らなくてつくづくよかったと思う。
参考文献:佐藤正明著『ホンダ神話Ⅰ』(文春文庫、2008年)
(消費者団体の日本ユーザーユニオン事件の件は面白い)
塩田潮著『昭和をつくった明治人 下』(文藝春秋、1995年)
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・21日、自民党衆議院議員の元秘書が強盗容疑で逮捕された。翌日には、二階経済産業大臣秘書の政治資金規正法違反は検察審査会で不起訴不当とされた。こんな時期に大変だ。
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