今は誰も住んでいない郷里の古家を、親戚のおばさんが時々窓を開けて風を通してくれます。
戦後すぐに建てられた安普請の木造家屋でも雨漏りに注意して、通風(すきま風も)を良くしておくと、けっこう持つもんです。
木は、酸素と適度な湿度と温度のもとでは、腐りやすくなり、シロアリも元気に活躍するのです。
現代の気密性の高い住宅は、室内の結露や湯気などが発生したときは、換気扇や窓を開けるなどして対応します。
自然に外に出すようにはできていません。
すきま風は期待できません。
それから、脅かすつもりはありませんが、結露は壁内部に発生することもあるのです。
また台風など非常に強い風雨のときは、雨水が外壁の内側に回りこむこともあります。
サイディング(外壁材として用いられる)は木の繊維をセメントで固めているので、水分を吸うと膨らんだり反ったりします。
そして、壁に詰める断熱材のグラスウールやロックウールは、水がかかると性能が落ちます。
木造住宅に湿気は大敵です。
どのような対策をしているのでしょうか?
今回は私が木造住宅を設計するときに湿気対策や強度UPのために標準仕様としている工法を3つ、簡単に説明しようと思います。
■ベタ基礎(ベタ基礎工法)
建物の下部全体に鉄筋を配筋して、コンクリートを流し込んで、基礎とする方法です。
私は木造住宅を設計する場合、建物の基礎部分は一般的にはベタ基礎にします。
建物が受ける地震や台風などの力を、基礎から地盤に効果的に伝えて逃がすので、耐震性に優れ、また建物の「不同沈下(不均等に沈む)」を起こしにくいとされています。
床下部分の地表をコンクリートで覆うので、湿気やシロアリの被害を防ぐ効果もあります。
■通気工法
高気密・高断熱の木造住宅では、壁の内部の湿気対策は建物の耐久性を高める上で重要です。
私は壁の内部は「通気工法」で換気する方法を採用します。
外壁最下部から空気を入れて、壁の中の通気層を上昇し、外壁上部や屋根の換気口から排気されるように、空気の流れをつくります。
■基礎パッキン工法
床下換気の方法です。
厚さ2センチほどの基礎パッキンを、基礎コンクリートと土台の間に一定間隔ではさんで土台と基礎の間に隙間を空け、床下の換気をします。
これまでの基礎に換気口を設ける方法よりも、換気性能が良くて、基礎の強度が損なわれないと言われています。
土台が基礎コンクリートと接触していないので土台の耐久性が伸びます。
このような方法はちょっと見ただけでは分かりませんが、きちんと設計図や仕様書に記されます。
そして、施工業者は、その細かく描かれた図面や仕様書に従って施工するのです。