よく晴れた空。携帯も何も持たずに家を出る。
夏に近い日差しが目に入った。
少し歩いただけでジワっと汗が額に溢れた。
サングラス越しの青みがかった世界をどこに焦点をあてるわけでもなく、ただ自然に足が動く方向に何も考えず歩き続けた。
何時間歩いただろうか。名前の知らない大きな川の河川敷に腰を下ろした。
空を見上げると、何も変わらない空がそこにあった。
大きく伸びをして、寝転んだ。
しばらく見上げて、気づくことがあった。
何も変わっていない。何も変わっていないのだ。
この空も、この川も、変わったのはきっと僕のほうだ。
変わってしまったのは僕に違いない。
手元にあった丸い石を手に取り、太陽にかざした。
そして、そのままポケットに入れた。
そのまま目を閉じた。
…
時間が過ぎたことは目を閉じながらも容易に感じた。
目を開けると、見慣れた天井だった。
時計に目をやると、午後2時を回っていた。
そうだ、今日は休みだ。今まで何をしていたんだ?
記憶の糸をたぐり寄せたが、どこかで切れてしまっていた。
なぜ、ここにいるんだ?いつ戻っただろうか?
そうだ!人と会う約束をしていたんだ。
頭の整理がつかないまま、干してあったジーパンを手に取った。
『カツン!』
床に何か硬いものは当たった。それはジーパンから落ちたようだった。
落ちているものをよく見ると、それは丸い形をした石だった。