またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

直球100マイル Vol.1

2010-03-11 08:31:55 | またたび
ネタがないわけでは、ありませんが
忘れないうちに書かなければならない小説が降りてきまして、
殴り書きですが、書かせていただきます。
久々の新作です。
毎週木曜日辺りにアップしていく予定ですので、
以後お見知りおきを…



直球100マイル

「来世でも巡り会えたらいいね」
「今が来世かもよ」そういうと彼女は笑ってタバコに火をつけた。
「そうだ。江戸時代に逢っていた気がする」
 僕も笑ってタバコに火をつけた。
 深く吸い込み、ゆっくりと煙を吐いた。
 そして、泡が消えたビールをひとくち呑んだ。
「今度は月の裏側で告白する、そして、OKの返事をもらうから」
 冗談混じりに言ったけど、『今度は』という言葉はあえて選んだ。
 これで最後となり、全てが過去になるのだから
 沈黙はなく、途切れることなく話し続けたけど、時間が過ぎていくのが
すごく惜しく感じた。
 でも、自分が選んだ道なんだ。

 
 季節の代わりを知らせる風が夜に届いた。
 今年の春は過ぎていくのだ。あの娘も同時に僕から過ぎていった。


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