またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

ついにネタが枯渇したので、ショートショートを載せます。

2012-02-09 08:29:35 | またたび
あいよ!
今年の風邪はのどと鼻かな?
バッドコンディションのあっしです。

ネタがついに枯渇してしまったので気分転換として
5分くらいで読めるショートショートでも読んでくださいな。
何か感想をいただけたら嬉しいです。


「前世」

 記憶がない。いや、正確には思い出せないといったほうがいいだろう。
 なぜここにいるのか、いつからここにいるのか、まったくわからない。
 考え込んでみるが答えは見つからず、深く考えているうちにいつの間にか考えていたことを忘れてしまう。
 いつもこの繰り返しだ。歩いているうちに忘れてしまう。だから、考えないことにした。
 食べ物は毎日決まった時間に何所とも無く出てくる。食べ物には何不自由していない。
 寝るところも確保されている。自由に歩き回れるスペースも充分確保されている。
 ただ、外に出られないだけ。薄暗くだだっ広い場所にいるだけだ。
 家族や兄弟も同じ場所いた気がする。
 でも、確かなことは覚えていない。
 いつの間にか独りになってしまった気がする。
 ここの暮らしでは一日の始まりは誰かの響き渡る泣き声だ。
 いや、叫び声。もしくは歌声なのかもしれない。どうとでも取れるその声でいつも目が覚める。
 その声が聞こえるとつられてほかの誰かも同じように声を発する。
 日中は寝ていることが多いが、目的なく歩き回っていることも多い。
 暗くなると視界が見えづらくなるから、動かずにすぐに寝ている。
 どのくらいの時間が過ぎたかわからない。どのくらいの日数が過ぎたのかもわらかない。
 この先どうなってしまうのか、敢えて考えることを避けていたが急に不安と恐怖が襲いかかってきた。
 思わず声が溢れ出てしまった瞬間、巨大なモノが体を掴んだ。

 強大な力だった。
 体はいとも簡単に宙にあがり、ただ足をばたつかせるしかなかった。
 抵抗しようともその強大な力はビクともしない。
 体中の骨が軋んでいる音が否応無しに聞こえてきた。必死にもがいていると目の前が暗くなった。
 そのモノは頭を掴んでいるのだ。
 次の瞬間、「ゴキゴキゴキ」と鈍い音が耳に届いた。
 そしてすべてを悟った。

 そうだ、私はニワトリだったんだ。






解説:昨年の暮れくらいにパッと思い浮かびました。
最初から謎謎謎で読んでいる人が?って感じになって最後に種明かしをするというまぁ、王道パターンですね。
なので繰り返し読んでいただくと、その謎があぁ~、鳥は三歩歩くと忘れるからとかコケコッコーで目が覚めるとかそんな感じです。
どんだけ暗い考えもってっけや!とかツッコミはなしです。

評判がよかったら思いつき次第また載せます。   


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