エリック・アンダースンの代表作と言われている名作アルバム「ブルー・リバー」。
これをLPで買ったのは、もう・・相当昔のこと。
確か・・・70年代だったと思う。70年代後半くらいだったのではないだろうか。
エリック・アンダースンという名前は音楽雑誌の記事などで知ってはいたが、曲は知らなかった。
彼の代表曲と言われていた「僕のベッドにおいでよ」という曲のタイトルは聴いたことがあっても、曲とタイトルが一致しなかった。
一度アルバムを買って聴いてみようかな・・・とは思っていた。
だが、この「ブルーリバー」というアルバムを私が買ったのは、思わぬ勘違いからであった。
70年代当時、テレビCMで「ブルーリバー」という名前の商品がよく宣伝されていた。
それは、アクセサリーだったか、化粧品だったか・・・よく覚えていない。
そのCMで流れるCMソング、あまりにも何度も放送されたために、私の耳にすっかりそのCMソングがなじんでしまった。
しまいには・・・欲しくなった(笑)。
こんな曲だった。↓
♪ ブルーリバー ブルーリバー ブルーブルー ブルーリバー
このCMソングを歌っていたのは女性だったと思うのだが、その原曲は、てっきりエリック・アンダースンの「ブルーリバー」というアルバムに入っている表題曲だと思ってしまった。
つまり、エリックの「ブルーリバー」を、女性がカバーして、それが日本の「ブルーリバー」という商品のCMソングとして使われているのだとばかり・・・思ってた。
で、そのCMソングの原曲聴きたさで、エリック・アンダースンの「ブルーリバー」というアルバムを・・・買ったのだった。
だが・・・
エリックの「ブルーリバー」と、日本のテレビCMソングの「ブルーリバー」は、・・・全くの別物であることが、このアルバムを聴いて分かった。
テレビCMの「ブルーリバー」は、明るく軽快でポップな曲だったが、エリック・アンダースンの「ブルーリバー」は全く違うタイプの曲で、静かで知的で、内省的な内容の歌詞を持つ、味わい深いバラードだった。
アルバム全体が、深く哲学的な内容で、心にしみ込んでくるような曲が多数収録されていた。評判通り、確かに名作だった。
アルバムを聴くにつれ、あのテレビCMの「ブルーリバー」のようなタイプの曲は、エリックはとても作りそうにない曲であることも分かった。
いやあ、とんでもない勘違いであった(笑)。
ちなみに、エリックの代表曲とされていた「僕のベッドにおいでよ」は、このアルバムには入っていなかった。
それでも、このアルバムが名作であることは変わらなかった。
個人的に、このアルバムで特に好きな曲は、タイトル曲の「ブルーリバー」と、オープニング曲の「リアリー・ラブ・アット・オール」。
この2曲は本当に素晴らしい。
1曲目の「リアリー・・」は、いきなり静かなアルペジオで始まる。
この静けさが、このアルバム全体のトーンを決めている感じだ。
で、聴くほどに、染み込んでくる。楽曲そのものの良さもさることながら、このアレンジもいい。
アルバムタイトル曲の「ブルーリバー」よりも私は好きかもしれない。
「誰もページをめくってくれないよ お前一人で読まなければならない
たったひとりで座って 物語がどう終わるのか考えるんだ」
「もし愛が雲でできてるなら 雨を降らせてほしい」
「愛、本当の愛だろうか それとも愛の呼ぶ何かだろうか」
・・などの歌詞が、印象的だ。
そしてアルバムタイトル曲「ブルーリバー」は、ピアノ伴奏で始まる、深い珠玉の名曲だった。
あのテレビCMソングで私が勘違いした「ブルーリバー」とは、似ても似つかない曲だ。
哲学的な歌詞もいい。
「年老いた男は川へ行き 多くの悩みを落とす
もし彼がしたいというなら 行けたんだ
それは漕ぐための船なのさ」
「水色の川は流れ続ける 岸辺に沿って
深みや暗さから僕らを守ってくれる
だって あまり遠くまでさまよいたくないから」
・・などの歌詞が、特に好き。
エリックは、音楽活動が上り調子の時期に、マスターテープ紛失というアクシデントに見舞われ、それまでの彼の音楽の記録がなくなってしまった・・・・という悲しい過去があるらしい。
でも、このアルバム「ブルーリバー」の素晴らしさは、今後も長く語り継がれていくだろう。
このアルバムを、この世に無数にある様々なアルバムの中から、モストフェイバリットアルバムに挙げる人がいることでも、それは分かる。
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