時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

13階の女  by  安全バンド

2016年01月06日 | 音楽全般

まだJ-POPという言葉がなかった時代。

日本のヒットチャートに、やっとフォークが市民権を得た時代。

当初、フォークに比べて、ロックは少し苦労していた・・と思う。

だがそんな時期にも、頑張っているロックバンドはいた。

たとえヒットチャートに登ってこなくても。

例えば、安全バンド。

 

私は安全バンドのアルバムはまともに聴いたことはない。

ただ、当時の音楽雑誌などで、その存在は知っていた。

高校時代のある日、私は当時の音楽仲間と一緒に、あるバンドのライブのボーヤみたいなことを、臨時にやることになった。

ボーヤとは、バンドボーイとして、有力バンドなどの雑用をやる、一種の「弟子」「アシスタント」みたいな人たちのこと。

たいがい若い人だったので、「坊や」みたいな呼ばれ方が発音などが変化して「ボーヤ」になったのだろう。

そのバンドは、当時プロだったのか、あるいはセミプロだったのかは分からない。少なくても私は聞いたことのないバンドだった。ジャンルは、ユーライヤヒープを彷彿とさせるプログレロックだった。

少なくても、単なるアマチュアバンドではなかったと思う。名のあるプロバンドと一緒にライブをやっていたし、技術的にも高かったし、少なくてもセミプロ以上の存在ではあったはず。

私は、ボーヤをやることで、そういう本格的バンドの人とお近づきになれるのが嬉しい・・・と思ったのだろう、音楽仲間の友人たちに誘われるままに、そのバンドの「一日ボーヤ」を引き受けたのだと思う。

ライブ会場は・・・確かどこかの河川敷だったと思う。野外であったことは確かだ。

会場につき、私らはそのバンドの機材を車から運び出し、ステージに運んだりした・・・と思う。

 

で、やがてライブは始まった。

そのバンドはあまり愛想をふりまくこともなく、寡黙にキーボードを主体としたプログレロックを演奏した。

そのコンサートでは、そのバンドの後に「安全バンド」が出ることがわかっていた。

客のお目当ては、やはり「安全バンド」だったと思う。実は私も友人も、プログレバンドのボーヤはしていながらも、心の中では安全バンドのライブも楽しみではあった。

当時、「安全バンド」はそこそこ名前が知れていたし、安全バンドの曲を知らなかった私は、そのライブではじめて安全バンドの曲を聞けることになるから。しかも生だ。

私らが一日ボーヤをつとめたプログレバンドは、さすがに演奏技術は申し分なかったので、客の反応は悪くなかったと思う。私は、自分が一日ボーヤをしていた関係上、ちょっとした身内気分で、そのしっかりした演奏ぶりに、頼もしさを感じ、嬉しさも感じた。特にキーボードは素晴らしいと思った。かっこよかった。

そのプログレバンドは熱狂的に受けてる・・というよりも、客は、じっくり聴き入っているという感じだった。

 

やがて、そのプログレバンドの出番が終わり、安全バンドの登場。

さすが名が知れていたバンド、出てくるだけで客の反応はよかったし、大きな拍手があがった。

安全バンドは、そのライブでは俺たちが主役・・というオーラを放ち、堂々とした演奏を始めた。

私はその時まで安全バンドのレコードは聴いたことがなかったので、彼らの演奏する曲は知らない曲ばかりであった。

安全バンドのライブは進んでいった。「ドアをしめろ」という曲のリフレインは覚えやすかった。

そして、やがて、ある曲を演奏し始めた。

相変わらず私はその曲も知らなかった。だが、その曲の印象深さは私の心に残った。

割とゆったりとしてテンポで、覚えやすいメロディ。なにより、その歌詞が印象に残った。

それが「13階の女」という曲で、それは自殺する女性のことを歌った歌だった。

 

「彼女はもう こうするしかないのだ 13階の屋上から身をなげること」

 

そんな歌詞の歌、それまで私は出会ったことがなかった。

だから、当時の私には新鮮だった。

 

そのライブでも、「13階の女」はすごく受けていた。

私だけでなく友人たちも、その曲に魅せられたようで、その後その曲が入っているアルバムを買った友人もいた。

その時、私の友人は、安全バンドの出番が終わった後、アンコールを求めて「あんぜんば~んど~!あんぜんば~んど~!」のコールを始めた。すると、周りのお客さんたちも一緒にコールし始めた。で、アンコールになったような気もするが、そのへん私の記憶はあいまいだ。

 

ともあれ、「13階の女」の歌詞が頭に残っていた私は、その数日後・・・家で作詞ノートに作詞をしてる時、無意識のうちに「13階の女」に影響を受けたような歌詞を書いてしまったぐらいだ。

 

後でその自作の歌詞を読みなおしてみたところ、「13階の女」にかなり似ていたので、結局ボツにしてしまったけれど(笑)。

 

この日記を書くにあたって少し調べてみたのだが、安全バンドは結局2枚のアルバムを発表しただけで解散してしまったらしい。

私の印象では、「知る人ぞ知るロックバンド」で終わってしまった感がある。

 

だが、屋外のライブで聴いた「13階の女」は、私の中で今も心に残っている。

ユーチューブなどで探したらこの曲の音源があったが、どうも・・・私が十代の頃に屋外ライブで聴いた「13階の女」とは印象が違う。

私がライブで聴いた時のこの曲は、まさにロックという感じがした。骨太な感じがあった。

だが、ユーチューブで聴いたこの曲のテイクは、ずいぶん耳触りの良いアレンジになりすぎている気もした。

なんか、ちょっと違う気がする。

 

やはり・・・あの屋外ライブで初めて聴いた「13階の女」のサウンドやアレンジのほうがよかったと思う。

ズシンとした重みも感じた。

そういう意味では、聴きやすすぎるバージョンで、初めてこの曲を聴く人には、この曲は誤解を与えてしまうかもしれない。

そのへん、少し心配でもあり、残念でもあり。

・・・というか、安全バンドは、やはりライブで真価を発揮するバンドだったのかもしれない・・・などと思ってもみる。

 

 

ともあれ

これを書いたことをきっかけに、どこかでCDでも見つけたら、あらためて聴いてみようかな。

 

 「13階の女」。

それは、、日本人によるロックの先人が残した名曲。

 

 

 


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