時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

風よロマンに針路を向けて  by  富田伊知郎

2018年09月25日 | 音楽全般

 

 

私が色んなレコードを集めていた頃、買うのはほとんどがLPであり、シングルを買うことはめったになかった。

シングルを買うぐらいならLPを買ったほうがいいと思っていた。

LPは曲がいっぱい入っているし、ジャケットが大きいのでジャケットを楽しむこともできるし、時にはお店がポスターなどのおまけをつけてくれることもあったし、ミュージシャンのやりたいことというのはシングルよりLPのほうに詰まっていると私は思っていたから。

 

だが、稀にシングルを買うこともあり、それは「よっぽど」のことであり、それこそ「いてもたってもいられない」ような心境で買った。

そう、よっぽどその曲にピンポイント的に惚れ込んだ場合であった。

 

この「風よロマンに針路を向けて」も、その中の一枚であった。

 

この曲を知ったのは、テレビCMのBGMに使われていたから。そう、CMソングだったのだ。

 

ある日テレビを何気に見ていたら、いきなりこの曲が流れ、その映像と共に1回見ただけで私は心をわしづかみにされた。一気に持っていかれた。

ともかく曲のスケール感が半端なく、大空に広がっていくようなメロディ、力強いボーカル、歌詞のキャッチーさ。どれも私の好みであった。

 

歌っていたのは、富田伊知郎さん。

作詞は荒木とよひささん、そして作曲&編曲は大野雄二さん。強力なタッグだ。

荒木さんは、主に歌謡曲の世界で数多くの作詞を手掛けた大物作詞家。

大野さんは、あの「ルパン3世」のテーマソングをはじめ、数多くのテレビ番組主題曲やCMソングの作曲でもおなじみの作曲家・ピアニストだ。

 

この曲が使われたのはサッポロビールの「びん生」という商品のCM.

 

雄大な山を大空から見おろしたアングルには、山の上を気球が飛んでいる映像が映し出されていた。

雄大な山脈、そして山脈の上の空を飛ぶ気球・・すべてを見おろしているアングルで、けっこう製作費がかかった映像だったのではないか。

ともかく、歌のスケール感にぴったりの映像であった。

 

 

このCMを1回見た途端、早くまた流れないかな・・・などと、リピートが楽しみになった。

 

だが、待っていると、そうは流れないように感じられた。

もちろん、それなりにリピートはされていたのだろうが、待ち焦がれていた分、ずいぶん待たされたような気になった。

それがもどかしく、いてもたってもいられなくなり、レコードショップに駆け込んだのだったと思う。

もちろん、この曲のシングルを買うために。

 

で、買ってきたシングルを聴き、初めてこの曲の全貌を聴けた。

テレビCMでは、この曲はサビしか流れなかった。

この曲をフルで聴くと、まずは圧倒的なサビで始まり、その後静かな曲調になり、そしてまた圧倒的なサビに戻るのだが、静かな部分からサビに行く時の転調が実に効果的であることも実感。

静かな部分から、サビで転調して一気にハイトーンの曲になり、高らかに歌い上げる曲調に変わることで、この曲は劇的にも思えた。サビで、聴いてる人間まで空高く飛翔していくような気分になった。

 

フルバージョンで聴くと、CMの短いバージョンではなく、この曲をフルコーラスで映像化してもらいたくなったものだった。

もちろん、映像は、あのCM同様に、広い大地に連なる山脈の上を気球が飛んでゆく映像で。

 

これを歌っていたのが富田伊知郎さんであったことには、当初少し驚いた覚えがある。

というのも、「富田伊知郎」」さんの名前は私は元々聴き覚えがあったからだ。

ただし、私が初めて富田さんを知ったのは「富田伊知郎」名義ではなく、「とみたいちろう」名義だった。

 

私の知っていた「とみた」さんは、それ以前に・・・確か「風よロマンに進路を向けて」の数年前に「12時過ぎのシンデレラ」というフォーク調の曲でテレビで見かけていたからだ。

フォーク調・・・といっても、どこか、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」の出だし部分を思わせるような印象を私は持ち、記憶に刻まれていた。

そんじょそこらのフォークとは違うぜ・・・みたいな姿勢も感じた覚えがあった。

 

多分「富田伊知郎」というのは「とみたいちろう」のことであろうとは思ったので、「12時過ぎのシンデレラ」との路線の違いに、私は驚いたのだ。

で、シングルを買って分かったのだが、この曲は富田さんの自作曲じゃないということ。

「12時過ぎのシンデレラ」は、作詞は門谷憲二さんだが、作曲はとみたさん。なので、「12時過ぎのシンデレラ」は、とみたさんの自作曲と言ってもいいだろう。

でも、「風よロマンに」は、とみたさんはソングライティングに関わっていない。

だから、その音楽の方向性の違いを私が感じたのは理解できた。

 

それを知った上で更に調べてみたら、富田さんはシンガーソングライターとしての活動だけでなく、幅広く歌手としても活躍されてきたのだった。

 

CMソングや、アニメソングも数多く歌ってきている、「歌手」だ。

 

けっこう有名なCMソングやアニメソングも歌ってきているようで、例えばCMソングでは・・

 

「俺とお前と大五郎」「パッと さいでりあ」「お~い 北海道」

 

などがあり、これらなどはかなりお馴染みであろう。

「へえ、その曲は、この人が歌っていたのか」「あ、その歌を歌っていた人か」

と思う方は多いのでは?

 

 

また、アニメ&特撮作品の主題歌の歌手としても地道で、

 

「宇宙魔神ダイケンゴー」のエンディング曲、「バトルフィーバーJ」「大戦隊ゴーグルファイブ」「科学戦隊ダイナマン」などの主題歌を手掛けてきているようだ。

 

そのボーカリストとしての才能を買われ、かなり幅広い活動をしてきたシンガーである。

 

で、そのボーカリストとしての才能は、この「風よロマンに進路を向けて」でもいかんなく発揮されていると言っていいだろう。

 

確かに、聴きほれてしまうようなテンション感があって、なおかつ力強い歌唱だ。

 

私は富田さんのライブは見たことがないのだが、ライブではこの曲を歌ってくれているのだろうか。

だとしたら、それこそこの1曲を聴きたさで見に行きたい気はする。

 

CMソングでは、CMで使われたことがきっかけでヒットチャートに登ってくる曲は多い。

だが、私の記憶では、この曲はヒットチャートに登ってきた印象はなかった。

けっこう残念だったのを覚えている。

 

まあ、歌詞という意味では、歌い手の感情を吐露したような「共感を呼ぶ曲」というベクトルではなく、風景描写やイメージを歌にした内容。

共感を呼ぶような感情表現の歌もいいけど、私はこういう風景描写やイメージ描写の曲も好き。風景が浮かんでくるような、聴き手のイマジネーションを刺激する曲は好き。

 

だから、こういう曲にも、チャートを登ってほしかったのだが。

 

 

今思うと、この曲はCMソングにもいいけど、大自然のドキュメント番組などにもピッタリだと思う。

どこかで・・大自然のドキュメント番組などで、この曲を取りあげてもらいたいものではある。

 

ともかく、前述の通り、スケール感が半端なく、雄大な気持ちにさせてくれる、爽快な曲だ。

 

以前私のHPでも紹介していたのだが、この曲は今でも私にとっては「心のシングル」の中の1枚であり続けている。

 

 蛇足だが、私が以前北海道で初めて熱気球に乗った時、私の頭の中にまず浮かんできたのが、この曲のCMの映像であった。

CM映像の中の気球は相当な高度の空を飛んでいたので、私が北海道で乗った熱気球の高度とは比較にならないが、いつかこのCMの映像のような高さを気球で飛んでみたい気はする。

そして、雄大な山脈を空からゆっくり見下ろすことができたら、どんな気分だろう。

もっとも、そうなると、相当な高度になるので、怖さの方もかなりありそうだが。

 

 https://www.youtube.com/watch?v=pFmARFWZwPo

 

 


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6 コメント

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Unknown (鮎川愛)
2018-09-26 20:05:04



私も、YouTubeで聴いて、一発で気に入った名曲です!

本当に雄大な歌い方で、迫力がありますよね。


『世界ふしぎ発見!!』のようなクイズ一流番組エンディングに向いています。


さて、私もCMソングで、すぐさま心を奪われて、夢中になった音楽があります。

ハウンド・ドッグ「BRIDGE〜あの橋を渡るとき」です!


このCMソングを聴いたときから、そのCMが流れてくることを何度も楽しみにしていました。


そして年月を経て、私が本格的にロックやポップスなど音楽に関心を抱いて、あらゆるミュージシャンの音源に夢中になっていると、ついに見つけたのです!


「あの時、CMで流れていた歌は、この歌だったんだ!」と、改めて感激して、何度も何度もハウンド・ドッグ「BRIDGE」を聴きました。


話は戻りますが、「風よロマンに針路を向けて」という楽曲タイトルも素晴らしいですね。


タイトルを聞いただけで、「よし!私も前進しよう!」と希望と勇気を与えてくれました。
返信する
Unknown (だんぞう)
2018-09-26 21:20:50
確かに良い曲でしょう?
ともかく壮大で、広がりがあり、スケールの大きな歌です。

世界ふしぎ発見、まさにピッタリですね。
使ってほしかったなあ。

タイトルも最高です。
というか、まずタイトルがキャッチーです。

ハウンドドッグのその曲、聴いてみました。
ロックな曲ですね。
彼ららしい良い曲ですね。
若さの似合う曲だとも思います。

探してた曲が見つかった時って嬉しいですよね。
なかなか見つからないことも多いから、なおさら。


返信する
Unknown (Toccata 7)
2021-09-28 11:22:50
壮大さと爽快感のある素晴らしい歌ですよね。^^

とみたさんは数年前まで船橋のサウサリートというライブハウスで
ライブをされていましたが、もうそのお店はなくなってしまい、
とみたさんとしてのライブもしばらくされていません。
しかし、アニメ・特撮系を歌う時のMoJoさんの名義では
今も活動されていて、渋谷のランタンというお店でのプライベートライブでは
時々とみたさんの歌も披露されます。
コロナの影響でしばらくそのライブもおこなわれていませんが、
そろそろ再開されるんじゃないかと思います。
http://mojomojo.p1.bindsite.jp/index.html
ここでコンタクトも取れますので、ライブのお知らせがあったら、
リクエストしておくと歌ってもらえるかもしれませんよ。
アニメ・特撮系の歌がメインのライブなので、そっち系が苦手だとつらいかもしれませんが。
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-09-28 15:27:33
はじめまして。
ここは時間の外です。ようこそ。

この歌、素晴らしいですよね。
一回聞いただけでグッときましたもん。

サウサリート・・・どこかで聞いた名前です。
でも行ったことはなかったです。
そうですか、もう店はなくなってしまいましたか・・。
もしかしてコロナのせいかなあ・・・。

渋谷のランタンというお店の名前は初めて聞きます。
コロナの緊急事態宣言も解除されそうですし、経済を回す動きも復活してくることでしょう。

以前、大森の店で、とみたさんの生歌は聴かせてもらったことがあったと思います。
私の記憶違いでなければ。

その時思いきって「風よロマンに」をリクエストしたかったなあと思います。

というか、あの素晴らしい歌を色んな人に聴いてもらいたいという気持ちが強いです。
埋もれているのがもったいないですよね。

アニメや特撮系の曲に関しては、私は古い作品しかなじみがないと思います。
なので、特撮アニメ系ではなく、シンガーソングライターとしてのとみたさんが聴きたいですね。

で、その中に、他の人が作った「風よロマンに」も混ぜてくれたら最高です。

情報ありがとうございました!
返信する
Unknown (Toccata 7)
2021-09-28 16:07:06
大森の「風にふかれて」というお店ですよね。
とみたさんのお友達の佐藤龍一さんがライブをされた時に
とみたさんも出演されていました。
私は残念ながら行けませんでしたが。

私もこの歌は大好きで埋もれさせるにはもったいないと思います。
サッポロビールにリクエストでもしてみますか。^^
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-09-28 17:11:47
ピンポーン!
まさに、その店です。
私のお気に入りの店です。
色んな人のライブをそこで見てますし、私自身も何度か出させてもらった店です。

私がとみたさんを見たのは、その店での1回限りです。
この記事を書いた後だったと思います。

何らかの形でこの曲には復活してもらいたいものです。
返信する

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