世紀の名作と呼ばれるアルバムや名曲には、どこか狂気があることがある。
インパクトのある曲であればあるほど。
そのミュージシャンのクリエィティビティの中にある狂気。
そしてそれは完成した音楽、楽曲に現れている。
聴いてて「なんじゃこりゃ、でもスゴイ」「どこからこんな展開が浮かんでくるんだ」と思わせるものがある。
私がこれまで聴いてきた音楽には、そういうのがあった。
世紀の名作アルバムや名曲であればあるほど、その傾向はあった。
それがどんなに内容が充実して、まとまりのあるアルバムであっても、それだけでは世紀の名作にはならないような気もする。
単なる「まとまり」を超えた何かがあったり、常人では思いつかない発想がそこにあり、なおかつそれが一般性もあって、不特定のリスナーの心にも訴えかける作品でないと、広がりはしないだろう。
常人では中々思いつかない発想は、どこかしらに狂気が感じられることがある。
ただ、一定の一般性もないと、評価はコアな一部のリスナー止まりになってしまうだろう。 一定のファンはついても。
例えば、中期以後のビートルズの数々のアルバム(リボルバー、サージェントペパーズ、ホワイトアルバムなど)や、フォークロックを生み出したディラン、ペットサウンズを作り上げたブライアン・ウィルソン、ロックギターの可能性を広げたジミヘン、チューブラーベルズのマイク・オールドフィールド、そのほかいくつもの作品がそれらに当てはまると思う。
もちろん、それ以外でも多数ある。
ほんと、それらのアルバムには、私は狂気も感じてしまう。
そういう作品を作り上げてる最中って、周りの常識人からは中々理解されにくい場合もある。
そんな環境の中で、作品を完成までもっていくのは大変だろうね。
バンドだった場合、メンバーやスタッフからも理解を得れない場合もあるかもしれないから。
そういう作品の場合、すぐに大評判になる場合もあるが、発表当時にはすぐには絶賛されなかったり、ファンにとまどいを与えたりすることもある。
そんな作品で、後に大名作と評価されるようになる作品は、一度評価があがりはじめると、ロングセラーになったり、歴史的な名盤とされていったりする。
それは、その狂気が世間に受け入れられたからだろう。
時代が過ぎてゆくにつれ、前の時代では狂気として感じられた要素が、一般化していったということだろう。
つまり、その作者の狂気は、時代での価値観をねじ伏せたり、変えたりしたことになる。
だからこそ、そういう作者は、特別な存在としてリスペクトされるのだと思う。
日々、多数のミュージシャンにより、多数の新曲やアルバムは発表され続けている。
その中で、素晴らしさと共に狂気すら感じられる新譜は、どれくらいの割合であるのだろう。
中にはすぐには良さには気づかれそうにない作品であっても、経年変化と共に不滅の作品になりそうだったり、音楽シーンの常識や流れを変えそうな作品は、どれくらいあるのだろう。
単に「まとまってる」を超えた何かがある作品は。
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