時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

雨に降られた島

2013年07月21日 | 

旅に出て、現地が雨だったりすると、ホント予定が狂う。

観光目的の旅でもそうだが、海水浴目当てで数泊の旅に出てる時もそうだ。

十代の頃、私は毎年のように伊豆七島の某島に友人たちと行っていた。

行くのは大体7月末ごろから8月上旬にかけてだった。

貧乏学生ゆえ、泊まる宿は民宿。

おおむね、晴れた。

だが、日程の中で一日だけザーザー降りの日があった。

その島に行くと、晴れた記憶しかなかったので、行く前からもっぱら「晴れ」のイメージしかなく、そのつもりで予定を立てていた。

雨は想定していなかったのだ。

それが、ある日・・・朝から雨に降られて。

民宿で我々が泊まった部屋は・・・・だいたい6畳くらいの部屋と4畳半の部屋の2部屋。

行った人数が6~7人いたから、1部屋じゃさすがに狭すぎるので、2部屋予約したのだった。

部屋は宿の2階にあったが、宿自体が、やや高い位置に建っていたので、我々のいる2階は事実上3階ぐらいの高さにあった。

予定では、朝起きて飯を食べたら、すぐに浜辺に繰り出すはずだったし、実際それまでそうしてきたのだったが、どしゃ降りの雨では、外に出る気になれない。

朝飯だけはすましたものの、やることがない。

我々は、仕方なく、少しでも広い方の6畳の部屋に集まった。

だが、一日はまだ始まったばかりで、外に出れないんじゃ、何をやっていいかわからない。

安い民宿だったので、宿の中にはこれといって遊び道具も施設もない。

ただただ、部屋にこもって、ダベっていただけ。

だが、話題がそうそう何時間も続くわけでもなく。

空しい沈黙が部屋に流れ、聞こえるのは窓の外の雨音ばかりだった。

そんな時、一行の中に女の子でもいれば、まだ楽しかったのかもしれないが・・。

 

とりあえず、雨がやむのを待つしかない。

雨の中、浜辺に行っても誰もいないだろう。かといって、ショッピングが楽しめるほどの村でもなく。

実際、窓から道路を見てみると、歩いている人はほとんどいない。

その時期に、その島は毎年賑わっていることを我々は知っていたし、だからこそ行っていた。

だから、その日も、島にはたくさんの客が来ているのは分かっていた。

でも、どしゃ降りでは、誰も宿から出てこない。

皆、宿で何をやってるのだろう・・・とか、皆どうやって過ごしているんだろう・・とか、我々は、そんなことを話したりもした。

おもむろに、窓から、道路を挟んだ「むかいの民宿」を見てみた。

その「むかいの民宿」は、よく言えば開放的・・・なのだろうが、部屋の中が丸見えだった。

そこには、何人もの若い客がいて、やはり窓越しにこちらを見ていた。

皆、時間をもてあましていたのだ。

 

ナンパなグループは、そんな時、自分らがナンパした女の子を、呼び寄せていたりした。

それは、我々の泊まった民宿の、別の部屋から男女の楽しそうな笑い声が聞こえたから分かった。

その男女は、初めから同じ団体だったわけではなく、どうやら現地で知り合った同士であることは、会話から分かった。

前の日にナンパでもしていればよかった・・・なんて、誰かがつぶやいた。

そうしていれば、ナンパした女の子を、民宿に呼ぶこともできたのに。

そうすれば、部屋の中でもワイワイ楽しく過ごせたはず。

こうして男ばかりで部屋でたむろしてても、つまらないよなあ・・・と別の誰かが続く。

女の子でもいれば、もっと華やかになるし、盛り上がるよなあ。

・・という話も出たが、あいにく浜辺にも町にも、出歩いている人がいないんじゃ、ナンパしようもなかった。

もっとも、私はナンパは苦手だったけど(笑)。でも、女の子でもいれば雨降りでも楽しいだろうという意見には同意見だった。

 でも、現実は・・・我々のまわりには女の子はいなかった。

ただただ、他の部屋から聞こえる男女グループの楽しそうな話し声が聞こえるだけだった。

そのうち、我々の一行は、1人また1人・・と畳に横になりはじめた。

もう、寝てるしかなかったのだ。

 

私はといえば、何気に持ってきた作詞ノートをバッグから取り出して、作詞をし始めた。

家に帰ったら、この詞に曲でもつければ、この無為な時間も多少は報われるだろうと思って。

詞は、割とすぐに出来上がった。

一行の中には音楽仲間もいたので、そいつに今書きあげたばかりの詞を見てもらった。

・・・最悪の感想だった(笑)。

その感想で、その時私が書きあげた詞は一気に散った(笑)。

おかげで、その詞自体、もう残っていない。

結局、時間をつぶそうと思って書いた詞も成果はなかった。

 

仕方ないので、再び私は窓の外を見渡した。

雨はあいかわらずザーザー降っていたし、あいかわらず道を歩く人はいない。

むかいの宿を再び見てみたら、窓際に立っている人は少し減っている。

我々同様に、寝そべる人が増えたのだろう、あちらも。

 

 

あんな時・・・・我々同様に異性のメンバーがいないグループで、雨で宿に閉じ込められた客たちは、皆どうやって時間をつぶしていたのだろう。

 

きっと

皆、我々と同じようなことをして、同じようなことを考えていたんだろうね。

 そう考えると、少し安心した。

もしも、その島で、天気が雨でも楽しめて、賑わっている場所があって、我々がその存在を知らなかっただけだったとしたら・・・・非常に損をした気分になっただろうし。

 

まあ、宿でマージャンなどをして時間をつぶした人もいたんだろうが・・・。

 

 雨は、空気と共に、人の心の熱も冷ましていたことは、確かかなあ。


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