私は自分のボーカルが好きじゃない。
声質も、音域も。
録音した自身のボーカルを聴くと、自己嫌悪になったりする。
なぜ自分は、こんな声をしてるんだろう・・・とか、なぜ自分はこんなボーカルなんだろう・・・とか。色々思って。
これは昔からそうだった。
中学や高校の頃に弾き語りで自作曲のカセットアルバムを作ってた時、それを聴き返した時に特にそれは感じた。
もう・・なんていうか・・本当に嫌でしょうがなかった。
だが、自分で作った歌は、とりあえずはまず自分で歌わなきゃしょうがない。
なので、仕方なく歌ってた感覚もあった。
歌がうまい人は、たいした練習などしなくても、先天的にうまかったりする。
そんな人が更に修練で磨きをかけると、更に素晴らしくなる。
だが自分は・・いくら歌っても歌っても、うまくなれた気がしなかった。
でも、自分の理想とするバンドは、メンバー全員が歌を歌い、メンバー全員が曲を作れ、ボーカルをひとりに固定しない・・・そんなスタイルだった。
例えば、ビートルズ、イーグルス、ビーチボーイズがそうであったように。
となると、自身も歌わなきゃしょうがない。
高校の時に組んでたフォークバンドは、3人編成のグループだったのだが、3人とも曲は作っていたので、それぞれが作った曲ではその作者が基本的にはボーカルをとる・・そんなスタイルだった。
時々、K君の作った曲を私が歌ったり、私が作った曲をI君が歌ったり、時にはI君とS君がかけあいで歌ったり・・などのバリエーションはあったけど。
そう、バリエーションを出すためだった。
そのグループで、カセットアルバムを作ったのだが、そこでも私は自身のボーカルには聴いてて自己嫌悪を覚えた。
やがて大学に行って最初のロックバンドを組むと、ロックバンドだとサウンドの音量があるし、ボーカルはメンバー3~4人が分け合っていたので、その中で1~2曲だけ私がボーカルをとっても、私のボーカルのアラだけが目立つということはなかった。
あと、高校時代に比べると、多少歌い方を変えていたので、それもマシに働いたのだろう。
で、そのバンドの次に大学で組んだバンドでは、うまい女性ボーカリストを引き入れることができたので、彼女をメインボーカルとして固定し、私の作った曲を託した。
その女性のうまさもあり、より曲が引き立った気がした。
私はそれに味をしめた。自分が歌うより、曲が良く聴こえる・・そう思った。
大学時代でそのバンドが自然消滅した後は、サークルで後輩のバンドに加入を頼まれたので、快く加入。
そこではボーカルが3人いたので、私も1~2曲自作曲を歌ったが、ひとりでボーカルをたくさんとるのはいやだったので、後輩に私の作った曲を託したりもした。
で、やがて大学卒業。
社会人になって再びバンドを組むことになるのだが、そこでは私はボーカルから撤退。ギターに専念。
その変わり、バンドレパートリーのオリジナル曲は、ほとんどを私が作曲することに。
大学の時に、うまいボーカリストに自作曲を託す楽しさは「味をしめて」いたので、そのバンドで2人のフロントマンのボーカリストに自作曲を託すのは楽しかった。
私が担当してたのは作曲のほうで、作詞の方はそのフロントマン2人に任せてたので、そのフロントマンとしてもソングライティングには参加できてたことになる。
ちなみに、バンドのリーダーはベーシストだった。そのベーシストは、バンドのコンセプトや方向性、活動スケジュールなどを担当。プロヂュースするのが好きなタイプだった。
この通り、バンド内でかなり民主的な役割分担ができていたので、メンバー間にあまり不満はなかったと思う。
もしそのバンドがずっと続いていたら、鍵盤奏者が作った曲や、サックス奏者が作った曲もバンドのレパートリーになっていただろう。鍵盤の人やサックスの人も自作曲をバンドに持ち込もうとしていたし。サックス奏者の持ち込んだ曲を実際に練習をしてみたこともあったし。
そうなると、バンド内にソングライターが何人もいることになる。それこそ、私の理想に近い。
そして30代になって新たなロックバンドを組んだ時は、最初は私も1曲だけボーカルをとったが、やがてボーカル専念の女性を入れ、私はボーカルから撤退し、その女性に私の自作曲を託した。これまたなんの不満もなかったばかりか、むしろこれが私にとってベストな形の気がした。
もともとの私の「理想のバンドスタイル」からは離れてしまったが、これでうまくいくなら、それでよかった。
と、こんな流れで、バンド時代は私は基本的にボーカルはほとんどとってなかった。
それは私自身が自分のボーカルを好きになれなかったから・・というのも大きかった。
だが・・やがてバンドは自然解消し、おじさん世代になってアコギユニットを組む。
バンドと違い、メンバー数はたった2人。こうなると、自分でも歌うしかなくなった。
それでも、女性ボーカルを入れて、私自身のボーカル曲を削ったことはあったが、諸々の事情で女性が参加が難しくなって、男二人のユニットになってからは、やはり私の作った曲は私自身が歌うしかなくなった。
それで今に至っている。
自分の作った曲は自分で歌うしかないのだ、やはり最終的には。
でも・・今でも私は、自分の歌声が好きじゃない。
それは変わらない。
ユーチューブで、申し訳程度に数曲私の作った曲を公開してるが、作った曲の数の多さに比べたら、公開曲が少ないのは、上記の理由によるのだ…。
公開してる曲の中にはボーカル曲を避けてインスト曲もあるくらいだし。
まあ、自主制作アルバムは作っておいてよかったとは思ってはいるけれど。それは自作曲を何曲か形にしておきたかったから。
整形手術なるものが世の中にはあるが、変声手術でもあれば、若いころに受けてみたかった(笑)。
そういえば、最上級の歌声の持ち主なのに、自身の声かあまり好きじゃない・・と言ってのける人も、たまにいる。
例えばジョン・レノン。
私はレノンの歌声は、ボーカリストとして最上級の魅力的な歌声の持ち主だと思っている。
なのにレノンは生前、自身の歌声が好きじゃないとインタビューで語ってたことがある。
そりゃ・・ないよ(笑)。
あれほど魅惑的な歌声の持ち主なのに、そんなこと言われてしまったら・・。
私のような俗人は、どないしたら、ええねん!
自分の好きな声、出したい声と、実際の自分の声質が違う場合に、そういう反応になるのかもね。
貴方は自身の声が好きだろうか。
今はイマイチとのことですが、それは年月と共に、ご自身の中のハードルがあがり、より高みを目指したいからではないでしようか。それはそれで、前向きで良いことだと思います。
経験値があがった分、若い頃よりレベルアップしてる部分は多いのでは?
私は人に託した曲を自分でセルフカバーすることは、人前ではあまりなかったです。
自宅で気まぐれにセルフカバーすることはありますが、それくらいかなあ。
私のユニットに一時在籍してた女性ボーカリストに託してた曲が、その女性ボーカリストがユニットから離れてからは、その曲は「存在しないもの」になってしまってました。
ただ、その曲にたいするまわりの反応が良かった曲は、存在しないものにしておくのはもったいない気もするので、そのうちセルフカバーするかもしれません。
なによりその曲がかわいそうな気もするので。
自分の曲がやりたくなる気持ちはわかります。
他のメンバーが作った曲をバンドのレパートリーにするのは全然OKなんです。
バンドに複数のソングライターがいるのは私の理想ですから。
でも、その結果自分の作った曲がまったくやれなくなるのは、私個人的には自分が音楽をやる理由がなくなってしまうので、その場に自分がいる理由がなくなってしまいます。
私が音楽をやってきたのは、自分の作った曲を誰かに聴いてもらいたいからでした。
そのためなら、歌うのは自分じゃなくてもいい、それが私のスタンスできてます。
曲を作るのが好きなので。
それにしても、夫婦で共にバンドをやれる環境というのは素晴らしいと思います。
たいぴろさんの場合、お子さんをまぜて、家族バンドも可能なのでは?
昔、原宿の歩行者天国で路上ライブにでた時、近くには家族バンドも出ていて、微笑ましかったです。
羨ましさも感じたことを、覚えてます。
でも、まぁ私は自分の曲は自分で歌いたいタイプ。何10曲か人のために作ってあげた事はあるんですけど、結局は自分で歌っちゃいたいなぁってその人には内緒で録音したこともありました。
25位の頃に組んでいたバンドは、私はキーボードとして入っていて、メインボーカルがいました。彼は上手だったんですよ、でもね、だんだんと一緒にやりたくななくなってきた。自分の曲がやりたくなっちゃうんですよね、でも、そのバンドでは、彼の曲が主体だったから、やらせてもらえなかったんです。
結局、私は自分勝手で エゴイストだったんですよ。今もそうですけど、1人でやったほうが気楽なのかなって言う気がします。ダンナからもキーボードで入らないってしょっちゅう誘われるんですけど、お断りしちゃうんです。だってうまい女性ボーカルがいますから、きっとまた私だって歌いたいって嫉妬しちゃうと思うんですよね、自分の技量は棚に置いといて(苦笑)