時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

こころの風景を訪ねる「こころ旅」

2014年10月27日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

テレビのチャンネルをあれこれ切り替えてて、偶然この番組を見つけると、たまに見ていた番組なのだが、最近はこの番組がけっこう好きになってきており、今では積極的にこの番組を探して見るようになっている。

なにしろ、なごむ。

番組は、視聴者から寄せられた手紙に書かれている「その視聴者の、思い出の場所」を、火野正平さんが番組スタッフと共に自転車に乗って探し当てて、現地に着いた時に改めてその「視聴者の手紙」を読み返す・・・そんな番組だ。

その「視聴者の思い出の場所」というのは、決して観光名所というわけでもなく、むしろ、田舎のなにげない自然風景である場合が大半。名もない風景だったりする。時には、自然風景ではなく、ややさびれた町の1シーンだったりもするし、廃校だったりもする。

だが、それがいい(笑)。それが新鮮。

決して、旅の名所巡りみたいな番組ではスポットがあたらないような、なにげない場所だったりするのが、けっこう好み。

観光名所というのは、たいがいどこかの番組で紹介されてきているからね。

 

火野さんが自転車に乗って、現地を探している時の風景が、これまたなんとも言えず良い。

カメラは、たいがい自転車に乗ってるスタッフの目線での映像。なので、まるで自分も自転車に乗って、火野さんと一緒に自転車で移動しているような気分になる。

思わず自分も実際に自転車に乗って、そういう場所を走ってみたくなる風景が多い。

川べりの土手、海沿いの道、里山が見える県道、急な坂道、時には狭い路地、などなど。

 

そして、現地についた時に、手紙を読み上げながら映し出される風景。

なにげない田園風景が、誰かにとっては宝物のような風景なのだ。

視聴者である私にとっては縁もゆかりもない場所のはずなのに、誰かの思い入れが入ることで、その場所は活きてくるし、なつかしく感じられてしまうのはなぜだろう。

 

手紙の内容を知った上でその風景を見ると、まるでその手紙の主の人生の一場面をわずかでも共有したような気にもなるのだ。

 

この番組を見てると、どんな風景にも、誰かの思い出が宿っているのだと、しみじみ思う。

自分が旅先などで、何の気なしに見る風景が、自分にとっては何気ない風景であっても、誰かにとっては特別な風景なのかもしれない・・・・そう思ったりする。

そう思うと、どの風景にも、意味が出てくるような気になってくる。

 

 番組内では、あまりBGMの印象が無い。番組全体的にハデさがなく、静かで穏やかな空気を感じるのは、そのせいかもしれない。もちろん、まったくBGMが入らないというわけではないし、テーマソングも冒頭にちゃんと流れる。だが、全体的にBGMは控えめな演出になっている。

音楽の印象があまりない分、自然音が強調される感じで、さらに火野さんのボソッとしたしゃべり、地元の人との関わり、何気ない田園風景、もくもくと自転車をこぐスタッフに、視聴者の私としては没頭できる感じで、ちょっとしたイマジネーションをふくらませることもできる。

そんな点も好きだ。

 

この番組を見てると、自分にとっての「こころの風景」はどこだろう、なんだろう・・ということを、ふと考えてみたりもする。

それは・・・

行きたくても中々行けない場所か。

行こうと思えば行けるのに、案外行く機会がない場所なのか。

一度行ったことがあるだけの場所なのに、妙に心に残っている場所か。

あるいは、過去に何度も繰り返し見ていた場所なのか。

辛い記憶や切ない記憶が宿っている場所か。

楽しかったり嬉しかった記憶が残っている場所か。

あの人のいた風景か。

1人でいた場所か。

過去に存在したものが、今では無くなって、すっかり変わってしまっている風景か。

昔も今も変わらぬ光景を残している場所なのか。

記憶をたどって再訪したことのある場所か。

それとも?

 

「こころの風景」の心当たりは私にも何か所かある。それは贅沢なことなのかもしれない。

だが、その中で、どれか1か所を選ぶとなると・・・どの風景にも良さや意味合いや記憶があり、すぐには選べなかったりもする。

 

誰にも「こころの風景」というものがあるとは思うが、それを言葉で聞いただけでは、聴き手としては想像力を働かせる余地はあるものの、話し手のリアルな記憶や体験とはズレが出たりする。

その点、この番組では、現地を訪れることで、風景を特定することができる。特定されては想像力を制限させてつまらない・・と感じる人もいるかもしれない。

でも、ピンポイント的で「止め絵」みたいな風景を見て、そこからあらためて想像力を膨らませることもできる。それもまたいいものだ。

 

火野正平さんの「こころ旅」、地味でもいいから、いつまでも長く続けてほしい、良質の番組だと思う。

見たところ、失礼だが、あまり制作予算はかかっていないようにも見える(笑)。

でも、予算をあまりかけないでも、こんな良質な番組を作ることはできる・・・という、良い証明ではないだろうか。

「心の風景」は、人それぞれだから、訪れられる場所はいくらでもあると思うし。

たとえ以前にも一度訪れた場所であったとしても、それにまつわる誰かの記憶や体験談が違うだけで、微妙に印象は異なって見えるのではないか。

 

なんでも、途中で時々「いったんお休み」の期間を設け、そして季節が変わった頃などに番組再開・・・そんなペースで制作・放送されているようだ。

 例えば、猛暑の夏なんて、しんどいはずだろうし。

 

また、この番組内の火野さんのお人柄やキャラクターも好きだ。

けっこうぶっきらぼうで、こびることもなく。あまり好感度上げを強く意識してるような様子はないところも、自然でいい。

それでいて、気遣いや優しさも、さりげなく出ている。

しんどい時は(たとえば山道を登っている時など)、けっこう弱音も吐いてみせる(笑)し、なにやらそれも人間くさい。

時には、女好きな(?)キャラクターも、ちゃんと顔を出し。このへんは火野さんならではで、女性への接し方が、絶妙でうまい(笑)。若い頃、プレイボーイでならしたのは、なんとなく分かる気がする。その経歴(?)は、だてではない気がする。

ちょっと素敵な女性を見つけると、しっかり反応している(笑)。

そして朴訥としたしゃべり。イヤミでなく、自然な感じの愛想。

触れ合う人との距離感が、なれなれしくもなく、かといって冷淡でもなく、絶妙である。自然に溶け込んでいってるように見えるのは、得なキャラクターだと思う。

褒められた時に、てれ隠しで毒舌みたいなコメントで反応するところも、いいかな。

時には、単にしょ~もないオッサンだったりするところなど、愛すべき人だとも思える。

番組の決め事(?)みたいなパターンとして、自転車で目的地に着いた時に火野さんが「とうちゃこ!」という決め台詞(?)を言うくだりがある。

「とうちゃこ」とは火野さん流の言い回しなのか、スタッフが考えたフレーズなのか私には分からないが、見てると火野さんが自然につぶやいた言葉が、そのまま決めフレーズとして定着したように見える。

で、この、火野さんが言う「とうちゃこ」フレーズは、見てると毎回言い方が微妙に違っていたりする。

その時の火野さんの体調や気分で、微妙に「とうちゃこ」の言い方が違うのが個人的に面白い。おそらく火野さんは、毎回「とうちゃこ」をどんな言い方で言うかは決めていないだろう。

目的地に着いた時の火野さんの気分や体調次第なのだ。

元気よく「とうちゃこ!」という時もあれば、小声でつぶやくように言う時もあるし、時にはしんどそうにいう時もある。また、時には、言わない時もあるが(笑)。それは単に言い忘れたのだろう。

その言い方で、その時の火野さんの気分や体調が、なんとなく分かる気がして、そこが私は好きだし、この番組を見てる時の私の密かな楽しみでもある。

で、「お、今日は元気いいな」とか「今日は本当にしんどそうだなあ」とか、「あ、今日はあっけないかな~」とか、思ったりする。

 

全体的に、火野さんがあまり気負っていないところが、この番組を落ち着いてみてられる点につながっているのかもしれない。

私はもともと火野さんは嫌いな役者さんではなかったが、この番組を見るようになって親近感はよりアップした気がしているし、前よりももっと好きになったのは確か。

こんな旅ができたら楽しいだろうな・・・。

 

そういえば・・・火野さんといえば・・・私は、若い頃の火野さんに、幕末の人物「人斬り以蔵」こと「岡田以蔵」を演じてほしいとずっと思っていたなあ・・・・などということを思い出した。

私の思う「岡田以蔵」って、若い頃の火野さんがイメージにピッタリだったんだよね・・・。

ともかく、これからも火野さんには、まだまだ頑張ってほしいし、密かに応援していたいと私は思っている。

 

 

さて・・

あなたには「こころの風景」はありますか?

そして、それはどんな場所でしょう。

さらに・・・いくつかある「こころの風景」の中で、1か所だけ選ぶとしたら?

 1か所だけ選ぶのは、難しいかもしれません。でも、どれを選ぶかあれこれ迷うのもまた楽しいもんです。

宝選びをしているようなものでは。

 

子供時代を過ごした場所。

元気だった家族と過ごした場所。

好きだった人(好きな人)と一緒にいた場所。

ふられて落ち込んだ心で見ていた場所。

友人たちと遊んだ場所。

仕事で行って、強く印象に残っている場所。

人生のターニングポイントになった場所。

その他、候補は色々あることでしょう。

 


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