この作品のDVDを私がいつ入手したのかは、もうはっきりとはしない。
プレステの初代機を買った時に、このDVDを入手した気はする。
当時私はDVDデッキは持ってなくて、プレステを買えばゲームだけでなく、DVDも見れる・・ということで、このDVDも入手したのだと思う。
だが、いざプレステを入手して、このDVDを見ようとしたのだが、どうもうまく再生できなかった。
だがせっかく買ったDVDソフトなのだから、なんとしても見たい。
そこでやむなくDVDデッキを購入して、無事に視聴することはできた。
初代プレステでなぜうまく再生できなかったのかはわからないが、とりあえずDVDデッキを買う良いきっかけにはなった。
購入した頃に全話視聴した後は、見返してはいなかったのだが、最近ふと思い立ち、久々に全話を見返してみた。
さて、このDVD「恐怖のミイラ」。
これはテレビ黎明期に制作されたドラマである。
もちろん私は世代的にこのドラマをリアルタイムでは見れなかった。
だが、この「そのものズバリ」なタイトルは、ずっと気になっていた。
ウィキによるとリアルタイム放送されたのは1961年の7月から10月にかけてで、日本テレビ系で毎週火曜日の夜19時30分から30分枠で放送されたらしい。
昭和30年代に、茶の間を恐怖のどん底に落とした「伝説のホラードラマ」として、人気を博した作品だったようだ。
制作は「月光仮面」などの制作で知られる宣弘社なのだが、「恐怖のミイラ」は月光仮面とは全く趣の違うドラマだ。
月光仮面は、主に子供にターゲットを絞ったスーパーヒーロードラマだったが、恐怖のミイラは必ずしも子供をターゲットにしたドラマではなく、大人もターゲットにした内容になっている。
まあ、もちろん子供も見ていたとは思うが、こうして見返してみると、十分に大人の鑑賞に耐えていたであろうドラマだ。
このドラマには超人ヒーローは出てこない。
基本はミイラ対警察である。
このドラマ、序盤はタイトル通りにホラードラマとして展開していく。
モノクロだからこその陰影が、ホラー感をより高めている。
そう、このドラマは、スリラーもの、ホラーものを狙って制作されている。
特に毎回最初に流れるオープニング映像は、完全にホラー作品らしい仕上がりになっており、バックに流れるインストのテーマソングのおどろおどろしさもあって、演出効果満点。
リアルタイム放送時が昭和30年代なので、画面には昭和の風景がふんだんに出てくる。
これが昭和時代を舞台にした最近のドラマなら、街の再現だけでかなり費用がかかるはずだが、恐怖のミイラは本放送が昭和30年代なので、リアルな昭和中期の風景が見れるので、ちよっとした資料にもなり、リアルな昭和風景を見れるのは楽しい。
高層ビルがなく、開発途上の街。空は広め。それなりに残る緑。
家、家具、車、言葉遣い、どれも本物の昭和30年代がリアルにそこにある。
内容的には、最初は怖いミイラではあるが、話が進むにつれ、ミイラが少しかわいそうにも見えてくる。
これは本放送当時は、視聴者も同じだったらしい。
4000年も前のミイラを生き返らせたことで、事件は起こり、次々にミイラは殺人を犯してゆく。
ミイラは、人間であって人間ではない。普通の人間にはない能力を持っている。
拳銃で撃たれても死なない体、普通の人間がとてもかなわない腕力。だから普通の人間は、ミイラと戦ってもかなわない。次々に殺されてしまう。
ミイラは、自分の生きてた時代に仕えていた王女を探して、20世紀の街をさまよう。生きてるわけがないのに。
その行動は、ただ、生きるための本能だけで。
20世紀の科学者は、研究のために4000年前のミイラを生き返らせたが、はたしてそれでよかったのだろうか。
安らかな眠りについてたままにしておけば、度重なる殺人もなかったし、街を騒がすこともなかったし、20世紀の警察に追われることもなかったはず。
ある意味、それは科学者のエゴであったのだろう。いくら研究のためではあっても。
私はこのドラマを見て、人間のエゴというものを考えされられてしまった。
生き返らせられてしまったのは、このミイラにとっては不幸なことだったのではないか。
そしてそれは、ミイラに殺された人間にとっても。
ホラードラマとして制作されたドラマだが、序盤と終盤でたいぶ印象が変わるドラマであった。
ひとつ不思議に思ったのは、このミイラさんって包帯グルグルの姿ではなく、スーツの上にトレンチコート着て、ソフト帽(ひょっとしてボルサリーノ製?)・・・まるでボギーではないですか(笑)
ま、この時代のファッションとしては普通なんでしょうが。
今、街でこのファッションを見る事はないですね。
子供の頃これ放送されてても、私はきっと観る事ができなかったと思います。この手のドラマ、怪談やホラー系は今でも苦手ですもん(笑)
昔はこれが普通のファッションだったのでしょうね。映画などの影響で。
今はあまり見かけないですね。
このドラマ、序盤はホラーものとして進行・演出されていますが、物語が進んで後半になると、印象が変わっていきます。
それが制作側の意図だったのかどうかはわかりませんか、後半はミイラが少しかわいそうになってきます。
後半はホラーものという感じではないです。
とはいえ、序盤のホラーな雰囲気のインパクトは印象として大きいですけどね。