アコギの名門メーカーであるマーチン社。
マーチン社製のギターには、それぞれのモデルに名称がある。
ボディサイズも色々あり、その中でも大きいサイズのボディは「D」という記号が与えられ、さらにそのDサイズのギターの仕様によって、Dの後に続く数字が違ってくる。
Dというのは、ドレッドノートが由来で、ドレッドノートとはイギリスの海軍の戦艦の名称。大型の戦艦だったので、それがマーチンのギターのサイズで大型のギターのサイズの名称に使われている。
Dサイズのマーチンギターとしては、有名どころではD-18,D-28,D-35,そしてD-45あたりがある'(もちろん、他の機種も豊富にあるけれど)。
18というのは材質がマホガニーボディ。
28というのは材質がスプルースとローズウッドの組み合わせ。
35というのは、材質は28と同様だが、ギターの裏側が3枚ピースになっているのが特徴。
そして45というのは、最高グレードのスプルースとローズウッドが使われ、なおかつ豪華なインレイが施される。
18、28、35、45・・・と、数字があがるたびに、少しづつグレードが高いとされていた。
まあ、こう書くとまるで18が廉価版みたいに思われそうだが、実際にはそうではない(18以下の数字の型番もあるしね)。
18に使われる材質はマホガニーなので、18はマホガニー特有の音がする。
なので、18と28ではどちらが上ということはない。あくまでもサウンドの傾向の違いがあるだけ。
ただ、18のほうが、装飾が28よりシンプルではあるが。
古くからマーチンのD-45と呼ばれるギターは、マーチンのフラッグシップモデルであり、最高の材質が揃った時にしか製作されない最高グレードのギターとされてきた。
それゆえ、アコギファンの多くから、憧れの思いを持たれてきた最高グレードのギターがマーチンD-45であった。
最高グレードということで、そのぶん値段も高価。
だから、いくら欲しくても、庶民にはそうそう簡単に購入できるギターではなかった。
長年マーチンD-45はマーチンのギターの中でもトップの存在であり続けたのだが、最近はマーチンからは45を更に越える型番のギターが製作されることがある。
もっとも過去にも45以上の数字のギターも製作されたことはあった。
分かりやすいのがD-76。
ただ76の場合は、45よりグレードが高いという意味ではなく、アメリカ建国200年だった1976年に1976本だけ製作された限定ギターだった。
で、その1976という数字にちなんで、D-76というある種特別な意味合いでつけられた名称だったと思う。
材質は45と同じグレードで、バックは35タイプと同じ3ピースバック、そして特殊なインレイが施されたギターであった。
なので、実質的には、45のグレードの材質で作られた35・・・そんな感じ。
だから、D-76はD-45より数字が上でも、必ずしも45より上のグレードという意味合いではなかったと思う。
だが、近年、材質などで45の材質を越える型番のギターも製作されることがある。
しかも、それは明らかに45よりグレードが上・・・という位置づけで。
で、それがどういう名称かというと、D-50であったり、D-100であったり、D-200という名称で呼ばれている。
45より上・・・という位置づけなので、仕様やデザインも豪華だが、なにより値段が凄い。
D-200に至っては1800万円くらいの値段がつけられていたりする!
これが戦前のリアルビンテージD-45なら、まあわかる。
世界に現存する本数がわずかだから、希少性でプレミア値段になっている。
だがD-50、D-100,D-200となると、近年製作されたモデルだ。
どれもさすがに装飾は豪華だが、特にD200の装飾たるや・・・。
「マーチンD200」のワードで検索すると映像が見つかるかもしれないので、どんなギターなのか興味がある方は検索してみるといい。ともかく凄いとしか言いようのない豪華なルックスのギターである。
これはもう、弾くギターというより、ミュージアムに展示しておくようなギターだと思うなあ。
ただ、個人的に思うことはある。
どれも装飾だけでなく、材質も最高級なんだろうけど、それらに使用された材って・・・本当は45に使用されるべき材なのではないかなあ・・・と思えてならない。
もちろん、装飾に関しては45をはるかにしのぐ装飾だとは思う。
あっけにとられるぐらいの装飾。
45というのは、そういう存在だったはずなのに・・・。
なんていうか、最高級ギターの代名詞だった45が地盤沈下してるような気がして・・。
これって、私が持つ45への思い入れにすぎないのだろうか。
マーチンファンは、そのへんどう思っているのだろう。
ちなみに・・私がD-200をもし試し弾きできる機会があったら・・・怖くて弾けないかもしれない。
なにせ1800万円以上するギター。
ちょっとでも傷つけたら・・・と思うと、怖い。
これが戦前のD-45なら、同じぐらいの値段だったとしても、少しは試し弾きできそうな気はするが(それでも怖いけど)、新品で1800万円以上するギターだと・・・ちょっと現実感がない・・。
D-50,D-100,D-200などのギターって、市場では今後どんな評価を受けていくのだろう。
戦前のD-45のようにどんどん値段があがっていくのか、あるいは中古扱いになっていくのか・・。
もっとも1800万円のギターなど、仮に中古値段になったとしても、とてもじゃないが庶民には手が出ない額ではあるのだろうけれど。
マーチンは今後、D200以上の数字の型番のギターを製作していくのだろうか。
D300とかD400とか。
そうなると、外観や仕様はどうなっていくのだろう。
その場合、D45の立場は・・?
ともあれ・・こういうギターって、どんな人が買うのだろう。
富豪のコレクター?
有名ミュージシャン?
あるいは?
こういうギターをもし入手した場合、普段から家で弾いてるのだろうか。
私なら・・傷が出来るのが怖くて、おいそれとは弾けない気がする。
他の人では再現できない何かがあるのでしょう。
だからこそ、その希少性ゆえ、とんでもない値段がつけられるのでしょう。
捨丸さんがお持ちのハサミにも、そういうものがあるのでしょう。
きっと優れた職人によって作られたハサミなんでしょう。
大事に受け継いでいってください。
まさに職人の魂までもが素材のひとつとなって名器たらしめているのでしょうね。
ギターでも量産品にも関わらず100本中に1本とか音色が飛び抜けている物がある…なんて話を聞いた事があります。
製作時に何か偶発的な要因が加わっているのでしょうね。
もちろん使用者の技量やメンテ、保管方法なんかも大きく影響するのでしょうが。
ま、概ね手づくりされる道具には、多かれ少なかれ凄く良い物が生まれるものですね。
私が愛用してる特殊なハサミがあるのですが、「明治十二年」の刻印があり、とにかくよく切れます。
紙はもちろん、段ボール、プラスチック、トタン、ちょっと力は要りますが釘や細いボルトも切る事ができます。もちろん刃こぼれもなし。定期的に手入れはしてますが、本当にいい道具です。
祖父から貰ったのですが、なんか金属工芸の職人さんの形見分けでもらったって言ってました。
なにせ値段が億の単位ですから。
日本刀には、なにやら神秘の力も宿ってる気がします。
その時代ならではの美術品、工芸品だったのかもしれません。
職人たちの凄さに改めて畏敬の念を感じます。
日本人として、誇らしい気がします。
以前聞いた話、楽器ではありませんが、日本刀なんかだと、みためを同様に作る事はそう難しい事ではないようです。しかし、本来の刀の性能というか切れ味や刀身の粘りなんかは再現ができないそうです。作った時代の技術、素材、工法などが今とは違うんだそうですが、正確に伝承されていないのだそうです。個人的には、その時代の空気なんかも影響しているのではないかと思いますね。
ビツクリしただけです(笑)。
怒ってるように見えましたか。
まぎらわしくてすみません。
だんぞうさんの怒りがひしひしと伝わってきました。
本当に申し訳ありませんでした。
そんなことがあったのですか?
借りに、いかにリアリティを追求したかったとしても、そのギターは重要文化財のようなものです。
世に残されている坂本龍馬の直筆の手紙を破いてしまうようなものです。
マーチン社が怒るのは当たり前です。
いくらなんでも許されません。
お金の問題ではないです。
連絡ミスだったでは済まされないです。
迂闊に文化財なんて貸し出してはいけないですね。
もしくは、ガードマンをつけていないと。
その時の現場にいた映画関係者には、ギターファンはいなかったとしか思えません。
例えキューブリックであってもスピルバーグでも黒澤明でも許されませんよ、そんなこと。
クウェンティン・タランティーノという映画監督がいますが、彼の作品に「ヘイトフル8」という映画があります。
この中に登場人物の女性がギターを弾きながら歌うシーンがあるのですが、このギターはマーチンの博物館から借り受けた150年位前の貴重なギターだったそうです。
劇中では女性の背後から男が現れてギターを取り上げると柱に叩きつけてバラバラにしてしまうのですが、女性のリアクションが演技とは思えないほど激しくうろたえます。
叫び声も凄いし、なんと言っても視線が完全にスタッフの方に向けられています。
そう、本来なら一旦カットがかかってギターを取り替えて撮影するはずだったのが、そのままノーカットで撮っちゃった訳ですね。
原因はスタッフの連絡ミスらしいのですが、絶対にあってはならない事ですよね。
もちろん大問題になり、マーチンの博物館は、以後のハリウッドへの貸し出しを一切禁止にしたそうです。
しかし、そんなトラブルのあったシーンをそのまま使ってしまうとは…タランティーノらしいっちゃらしいのですが。