自分で曲を作るミュージシャンやバンドがメジャーデビューできて、なおかつその後も売れ続け、更に本当に自分のやりたい音楽をできるようになるために、よく使われる方向性がある。
それは、自分で作った曲をプロとしてやり続けたいのなら、まずは自分が「売れる曲」を作れることを証明しなければならないということ。
レコード会社というのは、文字通り「会社」であるからして、利益をあげないといけない。ボランティア団体ではないのだから。
利益をあげるためには、そのミュージシャンには売れてもらわないといけない。
逆に言うと、ミュージシャン側としては、メジャーデビューさせてもらうからには、自分の作る音楽が利益をあげられることをレコード会社に証明しないといけない。
もちろん、レコード会社のスタッフが聴いて、そのミュージシャンが売れそうかどうかを判断し、売れそうであれば自らスカウトすることもある。
そして、デビューして、目論見通り売れれば会社に利益をもたらす。
そうすると、レコード会社としてはそのミュージシャンに「次」が用意される。
その「次」が続いていけば、そのミュージシャンは段々格が上がってゆく。
アマチュアミュージシャンとしては、音楽活動をするにあたって、自分が音楽をやる動機も関係してくる。
その動機は、各ミュージシャンによって異なる。
自分のやりたい音楽を追求していきたい人もいれは、売れて稼ぎたい人もいる。
中には単に思い出作りのためという人もいる。
プロ志向の人もいれば、アマチュアで十分な人もいる。
やりたい音楽と、売れる音楽というのは、微妙に違うこともある。
そこで戦略的によく取られるのは、まずは売れる音楽を作って実績を出し、ライブなとにも出て、それがある程度続けば実績もでき、名前も知られてくるし、ファンも増えてくる。
そうなってくると、ミュージシャン側もレコード会社や、ファンに対して、それなりに我を出せるようになる。
そうして、それまで抑えていた「やりたい音楽」をやらせてもらえるようになる。
わかりやすい例を上げれば、例えばビートルズ。
ビートルズは初期の頃は、ファンやレコード会社の要望に応えた売れ線の曲を作っていたと思う。
ジョン自身、初期の頃にはファンサービスで作った曲かあったことは認めていたし。
私の憶測では、例えば「フロムミートゥーユー」なんて、タイトルから言ってもそうだったんじゃないか?と思えるし。
「サンキューガール」という曲なども、いかにもという感じだし。
で、ずっと結果を出し続け、売れる曲を作れることを実績でレコード会社にも世間にも証明した。
こうなってくると、レコード会社も彼らにあまりものを言えなくなってきて、彼らに好きなことをやらせるようになる。彼らの要求に応えるようになる。
たとえ彼らがやりたいことをやって、仮に結果が出なかったとしても、彼らならその気になればまた売れる曲を作れるはずだから。
ただ、ビートルズの凄かったことは、彼らがやりたいことをやるようになっても、それが売れ続けた。世間的な評価も受け続けた。
こうなると強い。力関係的に。
結果彼らは解散するまで、やりたい音楽を追求し続けろことができた。
ここでふと考えてみた。
ビートルズが初期のポップソング作りから脱却し、やりたい音楽を追求するようになってから発表した曲を、もし最初からやってたら、どうなったろう。
例えば「トゥモロー・ネバー・ノウズ」「ア・テイ・イン・ザ・ライフ」「ストロベリーフィールズ・フォーエバー」「アイ・アム・ザ・ウォルラス」などの曲をデビュー時に発表してたら?
そう、「抱きしめたい」「プリーズ・プリーズ・ミー」「シー・ラブズ・ユー」などではなく。
まあ、まずは当時のレコード会社がバンドのデビュー時に、そういう曲を作らせてくれたか疑問だし、仮に作ったとしても発売してくれたかとうか疑問。
そこにいたる前に初期のポップソングで大きな成功と利益と実績を作っていたから、そういう曲も発表できたんたと思う。
まあ、ビートルズの例はあまりにも特別な成功例だが、それでもまずは売れる曲を作れることを最初に証明したのは大きかったはず。
で、その方法は他のミュージシャンにも言えるのだと思う。
ちゃんと売れてレコード会社に利益をもたらすことができることを証明して、やっと自分らの本当にやりたいことをやらせてもらえるようになるのだと思う。
ただ、その姿勢に批判的なミュージシャンもいる。
客やレコード会社に媚びてるようで、それは魂を売るようなものだから、俺等の本来の姿勢ではない・・と言うことで。
まあ、その気持ちも、ある程度わかるっちゃわかる。
ただ、それを通すためには、バンドの場合、他のメンバーの理解があるかどうかも大事になってくる。
やりたい音楽がメインメンバーのこだわりであっても、そのバンドのメインメンバーじゃないメンバーは、メインメンバーのバックメンバー的な立ち位置の場合もあり、そんな場合は、メインメンバーとバックメンバーの意識に差がある場合もある。
メンバー全員が同じスタンスならいいのだけど、メンバーによっては生活がかかっていたり、就職するかどうかがかかっている場合もあるだろう。
就職するかどうかがかかっている場合、デビューの見込みがないと、人生設計にもかかわってくる。
音楽でプロを目指すより、就職を選ぶ人もいると思う。
そのメンバーが女性だったりすると、結婚も関わってくる。妊活のことも考えると年齢も大事になる。
なにせ35才を過ぎると高齢出産とされるのが一般的だから、適齢期は一般的に男性よりも早い。
まあ、自分らのやりたい音楽をやって、すぐに売れれば1番だけどね。
というか、おそらく大半の人はシンガーソングライターを目指していたのだと思います。
現在、作曲家として活動してる人も多くはシンガーソングライターを目指していたのではないでしょうか。
本当はシンガーソングライターになりたかった、でも中々うまく行かないから、とりあえずのきつかけが欲しくて、自身の作った曲を、とりあえず「使われる」ことを優先したけど、気づいてみたらそのパターンでまわって続いてしまっているという方もいると思います。
シンガーソングライターとしてやっていける人は、最初のとっかかりて、売れそうな曲を作れるか、あるいは売れて結果を出して、なおかつ運やルックスにも恵まれた人だったのでしよう。
ルックスにも、レコードにもスタッフは「売れそうな」キャラを求めているのでしよう。
ネット公開でブレイクするひともいますが、むかしに比べてそういうチャンスや方法論のバリエーションが広かったのは、現代ならではの救いなんでしょうね。
私、若い頃は本気でプロを目指していて、実際にレコード会社とかプロダクションにテープを持ち込んで面接に行ったこともあります。今と違ってネットなんてないからカセットテープを送ってですね。
いくつかの事務所に曲を聞いてもらいましたが、ある有名女性歌手のライブに呼ばれてひょっしたらと言うことがありました。その時にその歌手のマネージャーに言われた事は、あなたは歌手になりたいのか、それとも作曲家になりたいのか?もし作曲家になりたいのなら、あなたの歌は要りません、楽譜と音源だけを持ってきてと言われたんです。そしてその歌手の歌いそうな曲を作ってくださいと。その歌いそうな曲というのが嫌でしたね。だって私のカラーは消えてしまうんですから。
田村直美さんと言うアーティストがいるんですけど、私の大学の先輩は、彼女とアマチュア時代にバンドを組んでいて、ソニーからお声がかかった時に田村さん以外のメンバーすべて捨てられました。ちょっと変わった曲をやってたんですよ、それが彼女がデビューした時は、まさに売れる曲でした。やはり会社としては売れなきゃ話にならないですもんね。
今の若いミュージシャンはネットやYouTubeなど、私たちの時代とは違うデビューの仕方をしてくるので、ある程度自分のやりたい曲で勝負できるのかもなと思います。ただし、そこから這い上がって一流になるのは、昔より難しい時代になってるのかもしれませんね。