かなり前のことになるが、ある中華そば屋に入った時のこと。
その店には、カウンター席とテーブル席があったが、私は1人だったのでカウンター席で食べていた。
すると、後からおばさん数人のグループが店に入ってきて、空いてたテーブル席に座った。
当然、注文をとるために、店のスタッフがそのテーブルに近付いた。
すると、おばさんの1人は一言「中華」とオーダーした。
その言葉を受けた店のスタッフは厨房に向かって「へい、チュウドン1ちょう」と伝えた。
・・そのやりとりを聞いた時、私は一瞬「?」と、変な予感がした。
だが、私は店のスタッフでもないし、客であるおばさんグループの一員でもない。はっきり言って、「関係ない人」。
なので、そのまま自分の食べ物を食べ続けた。
で、ほどなく時が過ぎ。
厨房で作られた「中華丼」が、先ほどのおばさんの席に運ばれた。
すると、そのおばさんは、
「あら、私、ラーメンを頼んだのに、どうして中華丼が出てきちゃうの?」と怒り始めた。
・・・。
この時、私は・・先ほど感じた変な予感が当たってしまったことを実感した。
・・・この場合、店のスタッフは、客が「中華」としか言わなかった時に、確認をするべきだった。
「中華」。・・・それって、「中華丼」のことなのか「中華そば」のことなのかを。
ただ・・客の方も、単に「中華」じゃダメなのでは。
また、そのおばさんは「中華」とだけ言ってオーダーした時に、店のスタッフが「中華丼」のことだと思って「チュウドン」という省略語で厨房に伝えたのは聞こえたはず。
その注文をとったスタッフの声は、けっこう大きな声だったし。
しかも、スタッフが「中華」を「チュウドン」と厨房に伝えた瞬間、その客は他の人とおしゃべりをしてたわけでもない。だから気づいたはず。
チュウドンが中華丼の省略であることぐらい、すぐに分かりそうなものだが(笑)。
ならば、その場で「中華丼じゃなくて中華そばよ」と言えばよかったのになあ。
・・・そう私は思いながら食べていたのだった。
この場合、店のスタッフも「中華丼」という呼び方で厨房に伝えたわけではなく、省略語の「チュウドン」で伝えたのも、いけなかったのだろう。
だからおばさんも、確かめるのをためらってしまったのかもしれない。
結局、おばさんは「中華そば」を省略して「中華」と頼み、それを聞いたスタッフは「中華丼」を省略して「チュウドン」と厨房に伝えたわけだから、互いに正式メニュー名を「省略」して口にしたから起きたトラブルだったというわけだ。
「中華」という言葉は、元々は特定の単品メニューの名前ではないと思う。
中華という言葉がつくメニューには何種類かあったので、同じ「中華」でも「そば」の可能性もあれば「丼」の可能性もある。店によっては、更なる種類のメニューもあるだろう。
この場合、「中華」という言葉がつく料理を、人ぞれぞれ捉え方が違うから、こんなことになったのだろう。
そのおばさんにとっては「中華」とは「中華そば」のことであり、店のスタッフにとっては「中華丼」のことであった・・・そういうことになる。
客商売である以上、この場合、よくオーダーを確かめなかった店スタッフが責められるのは仕方ないにしても、オーダーを単に「中華」としか言わなかった客も客だと思った。漠然としすぎでしょう(笑)。
メニューを頼む時は、漠然とした言い方はトラブルの元なのだ。
特に入りなれない店なら、メニュー名を省力したような呼び方で言うのはやめたほうが賢明だね。
店によって、メニュー名の省略の仕方は違ったりもするし・・。
このお客さんがこの店の常連であれば、店スタッフと客それぞれの勘違いもなかったのだろう。
常連客と店スタッフという間柄であれば、店は常連客の「省略語」が何を指すのかも分かってるし、常連客の方も店側のメニュー名の省略語が何であるかも分かっているだろうから。
だが、互いによく知らない間柄なら、確かめもせずに互いに省略語でことを進めると、こういうことになる・・というわけだね。
今の風潮、とかく「省略語」が使われがち。普段の日常の中で、省略語は気軽で言いやすいから、ついつい使ってしまう人は多いはず。
だが、省略語の使い方には、気をつけないと。互いによく知らない間柄だったり、広く世の中に認知されていない省略語は、特に。
やっかいなのは、相手がそれを知らないことを見越して、時として優越感で省略語を使う光景もよく見かける・・ということかもしれない。
私は、中華丼も中華蕎麦も大好物だから、どちらが出てきても大丈夫です(笑)
さらに中華丼に対しては、「とってもおいしい!」と有名な、あらゆる中国料理店で食べたいほど、大好物です。
さて、本来は中華そばが食べたかったけれど、中華丼が来たおばさん、その後どうしました?
渋々ながらも中華丼食べていました?
一昔前の中国なら、客と従業員で激しい口論になっていましたよ(苦笑)
客も、自らの非を認めずに…。
どちらが出てきても大丈夫です。
ただ、たまに無性に中華丼が食べたい時があったり、中華そばが食べたいこともあります。
そんな時は、初めて入る店では、店の人が勘違いしないように、正式名称でオーダーしたほうがいいですね。
中華丼が出てきたおばさん、結局中華丼は断っていました。
その中華丼は、厨房に戻されました。
たぶん、スタッフの誰かが食べて処分したのではないでしょうか・・。
店は仕方なくラーメンを作りなおした・・・と思います。
アの場合、お客さんのオーダーの言い方も悪いし、店の人も確認をおこたった「ツケ」でしょうね・・。
なんにせよ、双方とも安易な省略語を使いあったのが、失敗のもとでした。