先日、某トーク番組を見てて、妙に納得したことがあった。
それは「水かけ論」についてのコメント。
例えばAさんとBさんが口論しているとする。
その内容が、第3者から見て、双方の言い分を聞いてて、どう考えてもBさんの言ってることが正しいとする。
Aさんは負けまいと苦しい言い分や、ごまかしや「しらばっくれ」で対抗するものの、事実の強みと証拠を持っているBさんがどんどん優勢になる。
このまま、その口論を続けていくと、Aさんは形勢不利でどんどん土俵際に追い込まれ、やがては言い負かされてしまうだろう。
かといって、Aさんとて負けたくはない。たとえ自分の方が悪いと薄々思っていたとしても、その後の力関係を考えると、負けたくはない。
でも、このままじゃ負けてしまう。
そんな時。
Aさんのような劣勢の立場になってしまった人が、使う方法がある。いや、方法というより、対抗カード(?)として言うフレーズがある。
それは
「(このままじゃ)言った、言わない・・の水かけ論だから、これ以上話してもしょうがない」
という趣旨のフレーズである。
これは、便利な方法だ。
これを使うことで、その口論を不毛に見えるようにしてしまう。
つまり、劣勢のAさんとしては、その口論を続けていたら自分が負けてしまうことを実感したがために、その口論を早く終わらせるための手法である。
「水かけ論」に持ち込むことで、その口論を曖昧なものにしてしまい、うやむやにしてしまうのである。
この場合、有利な立場にあったBさんとしては、納得がいかないだろう。
Bさんは、ぜっかく優勢で、このままいけば勝てるのに、相手がうやむや逃げを計って、口論を不毛なものにされて、中断されてしまったわけだから。
こういうケースは、個人対個人の間でもあるが、時には国家対国家の間でもあることだ。
国家単位になると、さすがに「言った」「言わない」とか「やった」「やってない」とは言い合わないにしろ、そういう展開に持ち込もうとすることはある。
さて・・・冒頭で触れた「トーク番組」の話に戻るが、その番組内でこういうことについて語られて私が共感したのは・・
「(口論していて)言った、言わない・・の水かけ論だから」と先に口にした方が、事実上の負けである・・と言うコメントだった。
言われてみれば・・・確かにそうかもなあ・・と私は共感した。全部が全部そうだとは思わないが、そういうケースが多いとは思う。
それを言ったほうは、このまま口論を続けると自分の負けになるから一刻もはやくその口論を終わらせたい、そのテーマから解放されたいと感じてるはず。
だからこそ、そのフレーズを言ったり、そういう展開に持っていき、うやむやで終わらせようとするのだろう。
勝てそうもないからのドロー狙いか。
ある意味、その口論でギブアップ宣言したようなものかもしれない。
口論してて、優勢な方が勝ちにかかる時、「このままじゃ言った・言わないの水かけ論だから」と言いだして、あやふやで終わらせようとはしないだろう。
仮に、優勢な方がそれを言いだした場合は、相手に逃げ道を作ってあげてる場合だろう。
不利な状況にある相手に逃げ道を作ってあげることは、その後の双方の関係において大事だったりもするケースがあるから。
まあ、誰かと口論になるということは、なるべく避けられるに越したことはないが、それでもそうなってしまうこともあるかもしれない。
もし、自分が口論してて、相手が「言った・言わない・・の水かけ論だから」と言って、その口論をあやふやにしようとしてきたり、そういう展開に持ってきた時は、相手は負けを認めていることになる・・・・この認識がもっともっと広まれば、余計な関係悪化は防げるような気はする。
言われた方が、それ以上突っ込まなければ。
相手に「負けた」と言わせず・思わせずに、言われた側の事実上の勝利なのだから。
劣勢な方が「言った・言わないの水かけ論だから・・」と言ってしまって、負けたと判断されるのが嫌なら、そういうセリフを吐かないか、そういう展開に持ち込まないようにするしかない・・・。
ともあれ、口論していて「言った・言わないの水かけ論だから、これ以上話しても仕方がない」というのは、先にそれを口にした側の負けだったりする場合は、確かに多いとは思うなあ。
自分が不利であることを、暗に認めたことになるから。
まあ、水ってのは、どんな形であれ、火を消すのに役立つ・・・そういうことかもね(笑)。