カセットテープの時代、私はダブルカセットデッキを使って、多重録音をしていた。
自作曲でめぼしい曲がある程度たまると、それを多重録音してカセットに入れ、カセットアルバムを作っていた。
多分、同じようなことをしていた人は多かったはずだ。
私の多重録音時代のカセットアルバムは基本はボーカル入りの曲だったが、カセットアルバムの中にインスト曲を入れたこともあった。
その割合は、1枚のカセットアルバムに2曲ほど。
で、当時私が作ったカセットアルバムに入れたインスト曲の中の1曲に「二番星消えて・・」というタイトルの曲があった。
今の感覚で聴くと稚拙な演奏だったと思う。
ただ、音はけっこうかぶせ、エレキでのサイドギター、アコギでのサイドギター、エレキでのリードギター、アコギでのリードギター、そして3声ハーモニー、ハーモニカなどは入れたのを覚えている。リズムはリズムボックスを使用。
今の感覚では、原始的な方法だったと思う。
曲調はバラード系で、静かに始まり、サビで盛り上がり、ラストはだんだん音が薄くなっていって終わる・・そんな構成。まあ、ありがちな構成ではあった。
イントロはエレキのサイドギターにより、コードを1回ポロンと弾きおろしただけで曲が始まる。
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そして、まず1コーラスめにエレキ1本だけのバッキングギターにアコギのリードギターが基本メロディを崩さずに奏で、2コーラスめにはリズムボックスのリズムと共にアコギでのバッキングギターが加わり、エレキでのリードギターがメインメロディを多少崩した感じでメロディを弾き、3コーラス目にはエレキのリードとアコギのリードがハモりながらメインメロディを弾き、バックに3声のハーモニーが静かにかぶさる。
そしてサビで盛り上がる。3声のハーモニーは「ウ~~」からサビでは「ア~~~」に変わり、少しエッジが立つ感じ。
そして、サビ後の4コーラス目には今度はハーモニカが出てきてメインメロディをアコギやエレキのリードとは違うパターンでメロディを多少変えて入る。
5コーラス目にはエレキのリードとアコギのリードとハモニカのメロディ・・と、3種類の楽器がメインメロディを崩さずにハモらせながら演奏。
そして2回目のサビでは、1回目のサビよりもっと盛り上げる。
ここだけ楽器をさらに足したかもしれない。
で・・2回目のサビが終わった後は、だんだん楽器が減っていく。
最後は消え入りそうな小さな音でエレキのサイドギターとアコギのサイドギターだけになり、その2種類の楽器が音数も音量も抑え、サイドギターともリードギターともいえないメロディをかけあいで静かに弾いて・・・終わっていく。
まあ、そんな構成だった。
演奏力ははっきり言って拙かった。
でも、聴いてくれた人からの評価は悪くなかった。
私がその後のカセットアルバムでもインスト曲を収録するようになったのは、上記のインスト曲「二番星消えて・・」が案外友達から好評だったからかもしれない。
インスト曲だったし、上記のような楽器構成がないと再現できない曲なので、人前で演奏したことはないし、「蔵出しシリーズ」でもこればかりは1人ではやれない曲だ。
自分の中ではけっこう気に入ってる曲ではあったのだが・・。
もし「蔵出し」でやるとしたら、無理にでも歌詞をつけて、ボーカル曲にしないと、弾き語りでは出来ない。
でも・・インスト曲として作ったし、元々歌詞をつける気はなかった曲なので、そのままにしておきたい気持ちもあって。
また、そのカセットアルバムに入れたもう1曲のインスト曲は「楽園花」というタイトルで、アコギ2~3本のバッキングに、アコギがリードメロディを奏でる・・・というシンプルな構成で、曲調も地味な感じだった。その曲は、周りからの反応はまったくなかった。
「楽園花」は友人たちからは全くの無反応だったが、「二番星消えて・・」の周りからの反応はよかったので、それに気をよくした私は、その次のカセットアルバムでも2曲のインスト曲を入れた。
その2曲のうち1曲は、アコギ2本によるバッキングに、ハーモニカだけがメインメロディを奏でる・・・そんなシンプルな曲だった。エレキもコーラスも入らず。
あくまでもハーモニカによるインスト曲・・・そんな狙いだった。
雰囲気は自分では気に入ってたのだが、地味な曲だったので、周りの友人たちからの反応は特になかった(笑)。
そのカセットに入れた、もう1曲のインスト曲は、アコギとエレキのバッキングに、1コーラス目がエレキによるリードギターがメロディを奏で、2コーラス目がアコギによるリードギターがメロディを多少崩して奏でる。
そのバックには、2声コーラスと共にモノローグのような消え入りそうな語りの「つぶやき」が入るが、あまり聞こえないように入ってる感じ。
語られた内容は、特に意味がないセリフ。もしかしたら、めちゃくちゃ英語だったかもしれない。昔の歌謡曲などにあったムーディなセリフのようなものではなかった。
だいいち、私にそんなのは似合わない(笑)。
ともかく何かブツブツ小声でつぶやいている・・・そんな状況があればよかっただけだったと思う。
このインスト曲もまた地味な出来で、友人たちからの反応はまったくなかった(笑)。
というか、「そんな曲、入ってたっけ?」という感じ。
「二番星消えて・・」は周りからの反応も上々だったが、それ以外のカセットアルバムのインスト曲は、聴いてくれた友人たちからはまったく無反応だったので、その後のカセットアルバムではもうインスト曲を入れるのは・・・やめた覚えがある。
そういえば私の好きなシンガーソングライターたちのアルバムでは、インスト曲というのは・・・あまりなかった。
例えば吉田拓郎さんのアルバムにインスト曲なんてあっただろうか?
・・少なくても私が聴いた限りでは、なかったと思う。
井上陽水さんのアルバムでは、「二色の独楽」というアルバムにあった・・・と思う。
ディランのアルバムには、たまにあった。
ディランのインスト曲が大々的にフィーチャーされていたアルバムは、ディラン自身も出演し、なおかつ音楽も担当した映画「ビリーザキッド」のサントラアルバム。
まあ、これは映画のサントラ盤だったから、インスト曲が多かったというのは納得がいく。
ちなみに、そのアルバムにはボーカル入りの曲も数曲入っており、その中には後にディランの代表曲のひとつになった「天国の扉」もあった。
そのアルバムに入っていた多数のインスト曲の中には、個人的にかなり好きなインスト曲もあった。
私がカセットアルバムにインスト曲を入れたのは、そんなディランに影響を受けた可能性もあったし、当時クロスオーバーとよばれた音楽ジャンル(後にフュージョンと呼ばれるようになった)が人気があり、そのジャンルの音楽も私はよく聴いてたからだったかもしれない。
ただ、クロスオーバーやフュージョンをやってるミュージシャンは、ジャズ畑出身の人が多く、そういう人たちのような技量もなかった私ではあったが、とりあえずインスト曲もやってみたかったのだろうと思う。ただ、あまり難しいことはやってない(笑)。
そのだいぶ後になって、PCで作曲ソフトを使って作曲ができるようになった時は、自分で演奏しなくても、私の指示通りにコンピューターが演奏してくれるので、目からうろこ状態だった覚えがある。
ちなみに数年前に作った私の自主制作CDアルバムでは、アルバムのラストで短めのインスト曲を入れたが、それはかつてカセットアルバムにインスト曲を入れた名残だったかもしれない・・・などと私はたまに思うことがある。
ただ・・普段ボーカル曲メインで活動している人が、ある時アルバムなどにインスト曲を入れると、リスナーにとってはあまり印象に残らないケースが多いような気はする。
逆に、普段インスト曲メインで活動してる人が、ある時ボーカル曲を入れると、目立つ気もしている。
特に、素朴な方法で作曲・編曲された音楽は、シンセサイザーを駆使するより、遥かに貴重ですよ。
歌詞がない音楽は、自由な発想が出来るところが美点ですね。
「二番星消えて…」だんぞうさんらしい、とっても詩的なタイトルです。
私の子守唄にしたいほど、大好きですよ♪
でも、ああいう形でアップするのは、写真を集めるのか今はけっこう大変で、映像は中々作れないでいます。
二番星消えて…の音源は、鍵盤はまだ持ってなかったので、鍵盤は入ってなくて、鍵盤でやりたかったバッキングは、3声コーラスで代用しました。
二番星消えて…というタイトル、けっこう気に入ってます。
気に入ってもらえて嬉しいです。
ありがとうございます。