小学生時代、給食の時間というのは、毎日楽しみだった。
そういう人は多いのでは?
だが、毎日楽しみな給食の時間ではあったのだが、たまに自分が食べられない料理が出ると、けっこう辛いことがあった。
私は食べるのは早いほうである。それは子供時代も変わらなかった。
早食い競争をしてたわけではないが、天然の早食いだった私は、給食を食べ終わるのはクラスでいつも1番早かった・・と思う。もしくは2番だったかな。
まあ、早く食べ終わっても、何か良いことがあったわけではないのだが、気づけばいつも他の級友よりも早く食べ終わっていた。
だが、そんな私でも・・・給食時間フルにかかっても、食べきれなかった料理があった。
それは、給食で始めてボルシチが出た時であった。
ボルシチ。
私はその料理の名前をそれまで知らなかった。
始めてその料理に出会い、楽しみな気持ちと、少し不安な気持ちで食べ始めたのだが・・・・始めて食べるボルシチは、私にとって難敵(?)であった。
今でこそボルシチはウクライナの代表的な料理として世界的に知られている。
だが私の小学校時代には、・・・少なくても子供にはあまりなじみのない料理であった。
今はボルシチは、私は決して嫌いではないし、それどころかコンビニなどでレトルトのボルシチを自ら買って食べることもある。
だが、小学校時代の給食で始めて出会ったボルシチは、はなはだ私の口に合わないものだった。
なにせ・・・先ほども書いたが、給食時間いっぱい使っても、食べ終わることができなかったぐらいなのだ。
あの時、食べるのが遅い人の気持ちが少し分かった。
中々食べおわらず、時間だけがどんどん過ぎていく気持ち。
他の級友は皆食べ終わってるのに、たった一人だけ食器が机に残されてる気持ち。
今思えば、素直に食べるのを早めにあきらめて、「残す」とか「食べきれなかった」という形で給食を終えればよかったのだが(笑)。
なんか、せっかく出た給食を残すのは、もったいなくて、ギブアップが中々出来なかったのだと思う。
あの時、結局その日の給食を私はどうしたのだろう。
よく覚えていないが、根性で食べきったのか、それとも最終的には降参して残したのか・・。
ともかく、その体験は、トラウマのようになり、その後大人になるまでボルシチは私は食べられなかった。
頼もうとも思わなかった。避けていた。
結局ボルシチが食べられるようになったのは、大人になってしばらくしてからだった。
家で母が作ってくれた覚えはない。
なので、多分・・・スーパーなどで売られていた、少し高めのボルシチを、ある意味「清水の舞台から飛び降りる」気持ちで買ってみたのだろう。
トラウマのようになっていたボルシチを、大人になってなぜ自主的に食べてみようと思ったのだろう。
ボルシチのレトルトパックにあった写真を見て、まずそうには見えなかったのだろう。
というか、むしろ美味しそうに見えたのだろう。じゃなきゃ、トラウマ料理を自主的に買ったりはしなかったはず。
小学校時代に食べたボルシチが、たまたま私にとってまずかっただけで、ボルシチそのものは本来美味しいものなのではないか・・と思ったからだと思う。
もしかしたら、トラウマを払しょくできると思ったのかもしれない。
とにもかくにも、かすかな覚悟を持ってレトルトのボルシチを買ってみた。そして食べたら・・・・なかなか美味かった。
この瞬間、私のボルシチ・トラウマは一気になくなった。
よかった、一つでもトラウマを払しょくできて(笑)。
きっと、小学校時代に食べた給食の「始めてのボルシチ」が、私にとってまずいものだった・・ということなのだろう。
ただ、今思うに、小学校時代の給食で食べたボルシチを、もういちど食べてみたい気はする。
今食べても、まずいと思うのか、どうか。
なにせ、あの時・・・一口食べただけで、「なんだこりゃ・・。こりゃだめだ」と思ったからなあ。
あんな思いは、始めてだったし。
あの当時、ボルシチは、少なくても今ほどは一般的じゃなかったのかもしれない。
しかも、私の学校給食で出た「始めてのボルシチ」でもあったので、美味しい作り方も手探りだったのではないか。
給食業者にしても、冒険であり、ある意味挑戦だったのかもしれないし、よく分かってなかったのかもしれない。
また、私自身もボルシチというものをよく分かってなかったので、ああいう味に慣れてなかった・・というのもあっただろう。
私以外の級友たちにとっても、同じ味だったはずだし、皆は普通にいつも通りに食べ終わっていたから。
とにもかくにも、私にとってはまずく感じられて、時間いっぱいかかっても食べきれたかどうかさだかではなかった、「始めてのボルシチ給食」。
そんな給食、貴方にも・・ないだろうか。
なお、写真の中の廊下の右側にあるのは、給食運搬エレベーターのあった部屋のドア。
ここから給食は各教室に運ばれていった。
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