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かつて、つげ義春先生の名作コミック「ゲンセンカン主人」が映画化されたことがあった。
つげファンの私としては見逃せない映画だったので、早速映画館に見に行った覚えがある。
その映画では「ゲンセンカン」のロケ地になったのが、下部温泉の源泉館という宿であった。
だが、実際のつげ義春先生の「ゲンセンカン主人」は、つげ先生が群馬県の湯宿温泉に旅して、大滝屋という宿に泊ったことがきっかけで生まれた作品である。
下部温泉ではない。
それらのことは私は知っていたが、とりあえず私は映画を見たばかりの頃に、まず下部温泉の源泉館に泊まりにいった。
なんといっても、「源泉館」という宿の名前が、コミックに出てくる宿の名前と同じだ。
一方、湯宿温泉には実際には「ゲンセンカン」という名前の宿はない。
このへんがちょっとややこしいのだが、簡単に書くと、先生のコミック「ゲンセンカン主人」は湯宿温泉の大滝屋がヒントになり、そのコミックを映画化した作品のロケ地は下部温泉の「源泉館」である・・・ということだ。
下部温泉は山梨県にあり、身延線に乗ってゆく。場所的には富士山の周辺である。
ひなびた温泉街で、つげ先生が実際に下部温泉に行かれたことがあるかどうかはともかく、先生の昭和40年代くらいの作品に出てきたとしてもおかしくないような、昭和の香りを残す温泉街だった。
もっとも群馬の湯宿温泉は、もっとひなびた温泉街であるけど(笑)。
まあ、私が下部温泉に行ったのは、もうけっこう前のことになるし、今現在の下部がどうなっているかは私には分からないが・・。
「ゲンセンカン主人」は先生の作品の中でも傑作なので、つげファンにとっては原作のヒントになった湯宿温泉はマストな場所であろう。
でも、下部温泉の源泉館にも、機会があれば行ってみてもいいと思う。
下部温泉の源泉館は、武田信玄の隠し湯でもあったそうだ。
もっとも、信玄はあちこちに隠し湯を持っていたので、下部温泉は信玄の隠し湯の一つということになる。
私が下部温泉の源泉館に泊ったのは、映画が公開されたちょっと後の頃。なので、前述の通り、かなり昔のことになる。確か1月下旬だった。寒い頃だった。
宿の部屋に荷物をおいて、暖まろうと思って温泉に入ってみた時、少し面くらった。
湯は、冷泉だったのだ。
長く入っていればちゃんと体は暖まるのだろうが、どうしても私にとっての温泉のイメージとは、そこに入った瞬間の暖かさが頭にこびりついていたので、入ってみて冷泉だった時、「夏にくればよかった」と思った。
そう、夏なら最高だろうと思う。
昼間歩き回った汗だくの体をいやすにはもってこいだと思う。
だが、真冬は、最初はとまどってしまった。
風呂の内部は、映画「ゲンセンカン主人」でも出てきた見覚えのある光景が。
ほんと、映画のスタッフは、よくああいう宿を見つけたと思う。
名前が「げんせんかん」と読める宿で、しかも風呂の内部に神棚があった。
このへん、原作コミックと通じるものがあった。
一方、湯宿温泉の大滝屋の風呂は小さめ。神棚もなかった。少なくても、私が行った時はそうだった。
ただ、温泉街自体の雰囲気は、さすがにコミックで描かれた風景に通じるものは残されていた。。
両者を比較した私は、群馬の湯宿温泉の温泉街と、山梨の下部温泉の源泉館とが合体すると、コミック「ゲンセンカン主人」の宿になる・・・そんな気がした。
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