いわゆる「1テーマ・マガジン」という形態の本は今は花盛りで、多くの種類の本が出ている。
最近は、その「1テーママガジン」には、DVDがついていることも多い。その「1テーマ」が、特定の映像作品のシリーズだったりすると、DVDが付いているのは、今では当たり前のようでもある。
今回取りあげる「ミステリーゾーン」の「1テーママガジン」とて、その例にもれない。
以前、発行されていた1テーママガジンである。
実は私、このマガジンをこまめに買っていた。
だが、いつしか書店で見かけなくなってしまった。
ちゃんと最後まで刊行されたのだろうか。
毎号、DVDがついていた。
薄めのガイドブックには、その号のDVDに収録された作品の紹介や解説が簡単に説明されている。また、そのガイドブックには、収録された作品以外の記事も簡単に収録されていた。
「ミステリーゾーン」はかつて一世を風靡した、アメリカのテレビ番組のシリーズである。
このシリーズからは、日本でも多数の人が影響されたり、インスパイアされた。
後に大物漫画家になった人もいれば、映像作家や脚本家になった方も多い。それは、このミステリーゾーンを見ていると、よく分かる。
その後のSF漫画や特撮ドラマなどのストーリーの原型になった物語であふれている。
基本的には30分枠で1話完結というコンパクトな作品なのだが(後半になると1時間枠の物語も出てくる)、なにしろストーリーが秀逸。
脚本が素晴らしい。今見ても十分に面白いのが素晴らしい。
物語の内容の割には、製作費はあまりかけられていない。その辺は見てればわかる。
だが、ストーリーや着眼点、発想、テーマの素晴らしさが、低製作費という、今ではデメリットにも思える点を完全にカバーしている。
というか、ストーリー、着眼点、発想、テーマの素晴らしさで作品を見事にまとめあげており、しかも見る者に深く訴えかけてくる「深さ」がある。
当初私は、この1テーママガジンは最初の数冊だけでやめるつもりでいた。
だが、当初この1テーママガジンに選ばれたエピソードのどれもにハズレがなく、面白いので、すっかりハマってしまい、結局本屋でこの1テーママガジンの新作が発売されてるのを見かけるたびに買っていた。
買っている時、こうなったら全巻買おうかなと思っていたが、いつのまにか本屋で見かけなくなり、結局揃えきれなかったのが残念。
いっそ、初回から定期購読を申し込んでおけば,最後まで揃えられたのだろうか。
最初はよくても、いつしか本屋であまり見かけなくなる・・・というのは、1テーママガジンのリスクかもしれない。
各エピソードについて書き始めたら、きりがない。
多くのエピソードが、一作づつ取りあげるに足る魅力を持っている。
なので、いつか、いくつかのエピソードを個別に取りあげることもあるかもしれない。
このシリーズのエピソードは、これまで個別にリメークされたりしているようだが、それだけでもいかにこのシリーズに秀逸な作品がそろっていたかの良い証明ではないだろうか。
このシリーズを見てシナリオライターを志すようになった方は多いようだが、見てるとそれは分かる気がする。
もしも私が少年時代にこのシリーズに出会っていたら、自分もこんな話を書いてみたいと思って、そっちの方面に進んだかもしれない。そうしたら今の自分と違う「今の自分」があったかもしれない。
ともかく、刺激されるし、そそられる魅力のあるシリーズだ。
製作費をかけなくても、発想が豊かなら、こんな面白い作品を作れるという良い証明・・それがこのシリーズだ。
日本では、「ウルトラQ」というテレビシリーズもまた、この番組に触発されて生まれたという。
ウルトラQといえば、あのウルトラマンシリーズの出発点になった作品。
ということは、この「ミステリーゾーン」がなければ、ウルトラマンも生まれなかった可能性もあることになる。
もっとも、このミステリーゾーンは、ウルトラマンとは違うタイプの作品だが。
ただ、ウルトラQがこのミステリーゾーンに触発されて生まれたというのは、この作品を見てれば分かる。
ウルトラマンが今や日本の国民的ヒーローとして、なおも新シリーズが作られており、今や日本の文化の一部になっていることを考えれば、ミステリーゾーンは日本の文化に多大な影響を与えたことになる。
そういう意味でも、偉大な作品だろう。
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