時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

「山賊の歌」の謎(追記あり)

2008年04月09日 | 懐かしい系、あれこれ

ライブが終わって、一段落。来て下さった皆さん、ありがとうございました!
で・・落ち着いて、日常の中でふと歌のことなど考えてみたら・・・長年気になってた歌を思い出した。それは・・。


小学校の頃、修学旅行だったか、林間学校だったか・・に行く度に、バスの中でバスガイドさんがよく歌ってた曲がある。
それが「山賊の歌」である。
バスの中では「歌のしりとり」と共に、ガイドさんが歌う「山賊の歌」は定番だった。
この歌、皆さんはご存知だろうか?

♪あ~め~  が降れば~
 お~がわ~ が出来~

で始まり、サビらしき部分が

♪ヤッホ~ ヤホホホ~
 さみしい~ と~ころ~~

こんな感じの歌だ。

この曲が、私にとっては長年の謎だった。
この歌、一体なんだったんだろう。
山賊の歌・・てくらいだから、山賊がこの歌を作ったのだろうか。
だとすれば、よりによって山賊の作った歌が、なぜ小学生に披露されたのだろう。
場所によっては、音楽の授業でこの歌を教えた学校もあったらしい。山賊って、そんなに愛されていたのかい?
音楽の授業でも題材として選ばれるくらい、山賊って教育的にもよかったのかい?
ふ~む・・.。

誰が何のために、こういう歌を作ったのだろうか。
童謡のつもりで作ったのだろうか。まあ、そう考えると一番しっくりはくる。
「みんなのうた」で流れてもおかしくない歌だしね。

なぜ、バスガイドさんがよく歌ってたのだろう。
そういえば・・私の記憶では・・山の近くをバスが走る時に歌ってた気もする。
山の解説でもしながら、山にちなんだ歌・・って流れで歌っただけなのかもしれない。
また、この歌、輪唱がしやすく、バスに乗ってる生徒達みんなが参加して歌える便利な歌だったので、この歌がよく選ばれたのかもしれない。

曲的にも、けっこう印象に残りやすい歌だ。
ぶつ切りっぽいメロディ。合いの手(輪唱でもいい)を入れやすい、間。
単純な歌詞とメロディ。それでいて、歌われてる題材が、こともあろうに「山賊」ときたもんだ。
山賊って・・普通、悪者だよね。子供の持つイメージ的にも。
まあ、中国では山賊がいつの間にか「義の人」にされてしまった物語「水滸伝」みたいな例外もあるけど。
ともあれ、「山賊」ってのは荒くれ者で悪者・・そんなイメージが強い。
それが・・・この歌では、寂しがりやでペーソスを感じさせる山賊像が描かれてる気がする。
そんな切り口や着眼点も、この歌の印象度をあげている気がする。

で・・・実際のところ、この歌ってなんなのさ?という最初の疑問に立ち戻り、ちょっと調べてみると・・。

なんでも、この「山賊の歌」というのは、「人形芝居の挿入歌が、作者不詳のまま登山愛好者の間で歌われ、広がった曲」らしい・・・という記事を見つけた。

・・・・そうか、元々は人形芝居の歌だったのか。
だったら、山賊という題材が歌で使われてもおかしくない。
人形芝居の歌であるなら、山賊でもいいし、宇宙冒険談でもいいし、海洋探検談でもいいし、ヒーローものでもいいし、時代劇でもいい。つまり、なんでもありだ。

それが登山愛好家になぜ歌われるようになったか、だ。
山の歌で「娘さんよく聞けよ~、山男にゃ惚れるなよ~」なんて歌がある。
登山が趣味の人は、登山をしてると自分が「山男」であることを感じたりするのだろう(私はあいにく本格的な登山の趣味はないので、そのへんは曖昧だが・・)。
で、山男→山に生きる男→山賊・・・こんな風にイメージが連なっていってもおかしくない気はする。
で、そこで、格好の歌「山賊の歌」があったってわけなのかもしれない。
山賊が決して悪いイメージで歌われていないので、この歌が選ばれやすかった・・というのは合点がいく。

この歌を聞いてると、山賊は切ない・・というか、人情味があって哀愁を感じさせる存在に思えてくる。
だが・・・実はこの歌は、歌詞がけっこう何番もあるみたいで。
歌がフルで歌われ続けていると、こんな歌詞も出て来るらしい。

♪ ウッシ(ウッシ) ウッシシシ(ウッシシシ)
  人の(人の) ものは(ものは)
  ウッシ(ウッシ) ウッシシシ(ウッシシシ)
  おいらの(おいらの) ものさ(ものさ)

???
やっぱり古来のイメージ通りの山賊だ~~!
これって、まんまドロボウ・スピリットじゃないか(爆)。
ここまでくると、なんだ、やはり、悪い奴なんだな。・・・・と思ってしまう。
この曲は、せいぜい2~3番まででやめておくのがいいんだろうね。
この一節が出て来るまでの山賊は、決して悪くないイメージで、それこそ山賊ってのは本当は「やさしく、寂しがりやで、良い人たち」であって、世間に誤解されてるだけなのではないか・・という気が個人的にしていたが、「人のものは、おいらのものさ」という心情が歌われてしまうと・・ねえ。やっぱりこのへん、山賊らしくはある。

でもまあ、人形劇の挿入歌であるなら、それでもかまわないわけで。
レインボーマンか何かで「死ね死ね団の歌」なんてのもあったくらいだし。

ただ、小学生の音楽の授業にまで選ばれた・・というのは、ちと解せないものもあるよねえ。
「僕の将来の夢は、山賊になることです」なんて子供が現れたりして(爆)。

とりあえず、輪唱で歌われる歌としては、覚えやすいし、輪唱の楽しさを教えやすい曲ではある。
音楽の授業で選ばれたのは、そのへんが買われたのかもしれないね。
以前「クィクヮイマニマニ」」という曲を日記で取り上げたことがあるが、「クィクヮイマニマニ」といい「山賊の歌」といい、どうも子供時代に出会った曲で「この曲って、一体、ナニ?」と思った曲が・・あったりしませんか?


♪ やっほ~  やほほほ~~~

 

 

 

 

 

この記事を最初に投稿してから10年後の2018年、書き込みをして下さったTAKASHIさんから貴重な情報をいただきました。この曲が生まれたきっかけに関する情報です。

その情報をこの記事に追記しておきます。

その情報とは以下の通りです。

...............................................................

「山賊の歌」はその昔、山形の鳥海山の"滝ノ小屋"に東京の大学の山岳部の連中が泊まったときに、雨で足止めを食らったときに、山小屋の親爺(飲んだくれで優しかった今野次男という親爺)と一緒に何気なく歌いながら自分たちを"山賊"に見立てて歌ったものだそうな。(S45年頃に親爺から自慢げに聞きました)

...............................................................

 

とのことです。

TAKASHIさん、貴重な情報をありがとうございました。

 

 

 

更に2022年4月、新たに芦川さんから、この曲の作者に関する情報をいただきました。その情報とは、以下の通りです。↓

 

........................

 

山賊の歌は、小島祐嘉さん、田島弘さんによる、人形劇の挿入歌だったそうです。
お二人とも青年期のボランティア活動の中で、子どもたちに人形劇を見せる活動に携わり、ほとんど即興でこの挿入歌を作ったと伺いました。現在知られている山賊の歌の「節回し(歌い方)」は、たいへん元気でコミカルな感じに伝承されていますが、本来は「静か」で「厳か」で「雄大」な雰囲気で歌うものだったようです。キャンプファイヤーのエンディングで、しっとりと、しかし心を揺さぶるような...そんな歌い方なのです。

..........................

 

以上、芦川さんの下さった情報を、原文のままこの日記に取り入れさせていただきました。

芦川さん、情報ありがとうございました。

 

 








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5 コメント

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Unknown (だんぞう)
2022-04-23 09:24:59
はじめまして。時間の外にようこそ。

貴重な情報をありがとうございました。
この歌が生まれた頃とは、歌われ方もだいぶ変わってきてるんですね。
そのへん、歌も生き物なのかもしれません。

教えて下さった情報、貴重だと思いますので、日記の本文に組み込ませていただきました。

芦川さん、情報ありがとうございました。
返信する
Unknown (山賊の歌の作者について)
2022-04-23 08:06:23
神奈川県在住の芦川と申します。
山賊の歌は、小島祐嘉さん、田島弘さんによる、人形劇の挿入歌だったそうです。
お二人とも青年期のボランティア活動の中で、子どもたちに人形劇を見せる活動に携わり、ほとんど即興でこの挿入歌を作ったと伺いました。現在知られている山賊の歌の「節回し(歌い方)」は、たいへん元気でコミカルな感じに伝承されていますが、本来は「静か」で「厳か」で「雄大」な雰囲気で歌うものだったようです。キャンプファイヤーのエンディングで、しっとりと、しかし心を揺さぶるような...そんな歌い方なのです。
返信する
Unknown (だんぞう)
2018-11-13 18:35:56
TAKASHIさんの下さった情報、貴重で興味深いので、この記事の本文の最後の部分に盛り込ませていただきました。

ありがとうございました。
返信する
Unknown (だんぞう)
2018-11-13 18:13:46
はじめまして。
時間の外に、ようこそ。


山賊の歌に、そんな逸話があったとは知りませんでした。
その場のアドリブ的に自然にわきあがったのが曲の始まりだった、、、ということでしょうか。
それが何かのきっかけから、人形芝居に導入されたのだとしたら、そのきっかけが気になりますね。

多分自然発生的にできた時は短い曲だったと思うのですが、それが人形芝居に導入された時に、人形芝居用に歌詞を付け足されたのかもしれないですね。
というのも、一番の歌詞と、特に四番の歌詞の雰囲気が違う気がするからです。

ともあれ、貴重な情報をありがとうございました!
返信する
山賊の歌の作者 (TAKASHI)
2018-11-13 15:02:47
「山賊の歌」はその昔、山形の鳥海山の"滝ノ小屋"に東京の大学の山岳部の連中が泊まったときに、雨で足止めを食らったときに、山小屋の親爺(飲んだくれで優しかった今野次男という親爺)と一緒に何気なく歌いながら自分たちを"山賊"に見立てて歌ったものだそうな。(S45年頃に親爺から自慢げに聞きましたよ)。我々も毎年大学のスキー部で、"心字雪"の雪渓スキーに合宿に行っていたときに親爺から聞きました。
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