ラバー・ベイビー・フレンド by デイナ・クーパー
この曲はデイナ・クーパーの「Dana Cooper 」というアルバムのオープニング曲だ。
私がこのアルバムを入手したのは、70年代後半あたりだったと思う。
某店の中古レコードバーゲンで見つけたのだと思う。
このアルバムが発表されたのは1973年。彼のファーストアルバムだったようだ。
クーパーは1951年生まれのシンガーソングライターで、本国では20枚以上のアルバムを発表しており、今なお現役らしいから、今では大ベテランである。
ファーストアルバムでは豪華なバックメンバーがつき、出来栄えのほうも評価は高かった。だが、売れ行きは芳しくなかったようだ。
なので、彼のことを知っている日本人となると、少ないのではないか。
私とて、彼のことを知っていて買ったわけではなかったと思う。
当時私は、自分が知らないミュージシャンのアルバムを、あれこれ聴いてみたくてしかたなかった。だが、金銭的な余裕はなかった。
なので、中古レコードのバーゲンに行っては、自分の知らないミュージシャンのアルバムが安く売られていると、ちょっとジャケットやクレジットを見て買っていた。
このアルバムも、そんな流れで買ったのだと思う。
ジャケットに引かれて買ったというわけではなかったと思う。
というのは、ジャケットそのもので衝動買いするほどのジャケットじゃなかった気もするから。
あまりに自分好みのジャケットのアルバムを見つけた場合、内容が分からないままで「ジャケット買い」という名の衝動買いをすることが私にはあったが、このディナ・クーパーのアルバムはそうではなかった。
では、なぜ買ったかというと、中古盤としての値段、クレジット、あとは・・・直感だった。
この直感というものは、案外大きかったと思う。
なにやら自分の好きそうなシンガーソングライターっぽい気がしたのだと思う。
で、購入して聴いてみたら、いきなり1曲目のこの曲が当時の私の趣味にピッタリくる曲調だった。
まさにこういう感じを求めて買ったんだよなあ・・・と、思った覚えがある。
声といい、メロディといい、サウンドといい、雰囲気といい。
自分の直感は、当たった!・・と思ったものだった。
アコースティックギターのおだやかなコードストロークではじまり、カントリー系のようなやや高めのソフトな声。コードワークには透明感も感じた。
広がりのある曲調。おだやかなメロディライン。
当時の私の趣味のストライクな曲だった。
当時私がよく聴いてたボーカルは、大きく分けて2種類。
ひとつは、しゃがれ声だったり太めの声だったり、男っぱかったり渋かったり、癖のある声。
で、もうひとつは、やや高くてソフトで、やさしそうな声。
前者は例えばディラン、ザバンド、ブルース・スプリングスティーンなど。
後者は例えばスティーブン・ビショップ、アル・スチュワートなど。
イーグルスなどは、前者タイプのドン・ヘンリーと、後者に近いグレン・フライと、両タイプのボーカルが1バンドにいて大好きだった。
で、ディナ・クーパーは、後者のタイプだった。
初めて聴き始めて、「お、こりゃ自分好みだ」と思えた要素は、メロディラインや空間に広がりを感じたからだった。
そして、メロディラインもまさに私の好みだった。
昨今の装飾過多のアレンジの楽曲を聴きなれてる人には、今聴くと物足りないかもしれない。
でも、ごちゃごちゃしていないぶん、メロディラインやボーカルが引き立っているし、それこそギター1本でも曲として成立できてしまう感じ。
また、このアルバムでは、ラストに収録された曲「ホーム・アゲイン、ホーム・アゲイン」も私の大のお気に入りになった。
出だしは郷愁を感じる曲調で、後半はストリングスで盛り上がる曲で、まさにアルバムのクライマックスにふさわしく、大きく広がった感じでアルバムは終わっていく。
大地を感じる終わり方であった。
当時私はアルバムのこういう終わり方は大好きだった。
例えばイーグルスの「ホテルカリフォルニア」も、ラストは「ラストリゾート」という名曲が壮大なストリングスで大きく広がって終わっていってたし、
ポコの「インディアン・サマー」というアルバムもそういう構成だった。
そういう構成のアルバムは当時の私が好きだったアメリカンロックのアルバムの典型でもあった。
そして、デイナ・クーパーのこのアルバムもまた、そういう構成になっていたというわけだ。
全体的にクーパーの作曲センスと、ソフトなボーカルが印象に残るアルバムだ。
このアルバム、日本盤は発売されていたのだろうか。
私が中古で入手したこのアルバムは輸入盤だった。
こういうシンガーソングライターのアルバムというのは、私はなるべく国内盤で買うことが多かった。
訳詞を読みたかったからだ。
シンガーソングライターのアルバムは、歌詞も重要である場合は多いから。
例えばディランなどはその分かりやすい例だ。
このアルバム、少なくても私は当時、国内盤を見かけたことはなかった。
でも、中古の値段だったからこそ、こういう無名(?)なシンガーのアルバムも買えたわけで。
その辺、ジレンマでもあった。
聴き終わって、私はかなり気に入ったので、これは国内盤で買えばよかったなあ・・・と思ったことを覚えている。
ただ、アメリカでも芳しいセールスにはならなかったようなので、そういうアルバムを日本のレコード会社が国内盤を出すかというと・・・ちょっと微妙。
なので、国内盤は出ていなかった可能性もある。
だとしたら、中古で安い値段でこのアルバムを見つけて、直感で買っておいてよかったと今では思っている。
こういうメロディラインを聞くたびに・・・・当時の自分にはこういう傾向のメロディは確実に染み込んでいってたなあと思う。
当時なにげに私にメロディラインが浮かぶ時、ついこんな傾向のメロディを作ることが自分には多かったような気もするから。もちろん原曲にはかなわないけど(笑)。
ただ、そういうメロディに歌詞までできることは稀だった。
だから、完成せずに、メロディの断片だけが大量にメモテープに残されていたものだった。
歌詞がめったにつかなかったのは、私の声がこういう傾向じゃなかったからかもしれない。
自分の声がこういう傾向の声だったら、こういう曲ばかりを作っていたかもしれない。
デイナ・クーパーは日本に来たことはあるのだろうか。
きっと・・ないような気はするが、もし日本に来てライブをやるなら、このアルバムの再現を、小さめな店で至近距離で聴いてみたい。
彼が元気でいるうちに。
このアルバム、 近年、解説・対訳つきで、CD化されたようだ。
どうしようかな・・CDで買い直すかどうか迷っている。
https://www.youtube.com/watch?v=tsWQPb5agus
具体的なミュージシャンを挙げるとすれば、ジョン・デンバー。
私、ジョン・デンバーが歌う「カントリー・ロード」など大好きですよ(笑)
今回、紹介されたアルバムや楽曲とは、ずいぶん趣向は違いますけどね。
私は、自分の音楽スタイルを「バディ・ホリー」として目標掲げていますけど、本当に「危険な冒険」ですよね…。
それはさておき、このアルバムがCD化され、日本語対訳・解説付きならば、入手すべきですよ。
アルバム全体のコンセプト、各楽曲エピソード、歌詞の内容を正確に知ることが出来ると、さらに一層ファンになること間違いありません。
私の声がC&W系?
そんなこと言われたのは、初めてです。
自分では、そんなこと思ったことありませんでしたし、意識したこともなかったです。
つくづく、感じ方や捉え方って、人それぞれなんですね。
ジョンデンバーは嫌いではなかったですが、かといってじっくり聴きこんだこともなかったです。
カントリーロードは、シングルは持ってましたけど。
デイナ・クーパーのこのアルバムを買うなら、日本語の解説や、訳詞もついてるといいなあと思います。