SUN SONG BY STUFF
スタッフ・・・といっても、これはバンドの名前である。れっきとした。
なんともシンプルな名前だ。
ジャンル的にはフュージョン(当初はクロスオーバーと呼ばれてたジャンルだったが)。
70年代に活躍したバンドで、メンバーが非常に豪華だった。
腕利きのスタジオミュージシャンたちが集まって結成されたバンドで、スタジオミュージシャンというのはかなりの腕がないと務まらない稼業。
その中でも、特に腕利きのメンバーが集まったのが、このスタッフというバンドだった。
ある意味、スタジオミュージシャンのオールスターバンドみたいな顔ぶれだった。
なので、実力的には折り紙つき。
ギター エリック・ゲイル
コーネル・デュプリー
鍵盤 リチャード・ティー
ベース ゴードン・エドワーズ
ドラム スティーブ・ガッド
クリス・パーカー
ともかく、スタジオ・ミュージシャンとしては聞いたことがある名前が並んでいた。
ビッグネームぞろい。
よくもまあ、これだけのメンバーが揃ったものだと思う。
当時はフュージョンというジャンルが大人気で、そんな風潮のなかで結成されたバンドだったので、日本ではけっこう話題になってたし、人気もあったと思う。
私も当時、フュージョンというジャンルには興味を示し、それなりに聴いていた時期でもあったので、このバンドのアルバムも聴いてみたのだった。
で、このバンドのアルバムの中で一番好きになった曲が、この「サン・ソング」であった。
曲としては、はっきりいって地味だったかもしれない。
でも、この曲の持つムードや、ゆったりしたメロディラインが大好きだった。
なにやら夏の海を連想させられる曲で、トロピカルなムードを感じた。
当時はトロピカルな雰囲気というのは人気があったので、そういう意味でも風潮に合ってる気がした。
それと、浜辺に吹く穏やかな風の音まで聞こえてくるような曲にも思えた。
穏やかに晴れた昼下がりなどに、部屋の中でこの曲を聴いてると、たとえそこが都心の住宅街の中の家の一室であっても、どこかの海のリソートの浜辺などで、穏やかに海を見つめてるような気分になれた。
そして、波には太陽の光が反射していて。
以前このブログではクルセイダーズの「ナイルの百合」という曲を取り上げたことがあるが、その時に書いた感覚と似たような思いを持つことができたのが、この「サンソング」だった。
その心地よさが。
前述の通り、当時はフュージョンというジャンルは大人気で、私のいた学校でも音楽ファンの間でフュージョンのミュージシャンはよく音楽の話題に出てきていた。
フュージョン系のギタリストでは、ラリー・カールトンやリー・リトナーが特に人気あったが、スタッフというバンドのエリック・ゲイルやコーネル・デュプリーは、それに次ぐ人気ぶりだった気がする。
それはこのスタッフというバンドの人気が大きかったのではなかったか。
また、スタッフの鍵盤のリチャード・ティーやドラムのスティーブ・ガッドあたりも音楽ファンの間ではよく話題になっていた。
フォーク系のサークルより、軽音楽部系のメンバーの中では、リチャード・ティーは鍵盤ヒーロー、スティーブ・ガッドはドラムヒーローみたいに思われていた感があった。
フュージョン系のバンドを目指すプレイヤーたちにとっては、憧れであり、大きな目標でもあったのではないだろうか。
かつてハードロックファンのギター小僧がジミー・ペイジやリッチー・ブラックモアに憧れ、ハードロックファンのドラム小僧がジョン・ボーナムやコージー・パウエルに憧れ、プログレロックファンの鍵盤小僧がリック・ウェイクマンやキース・エマーソンに憧れたのにも似た感覚だったのかもしれない。
私はフュージョン音楽を自分で目指していたわけではないが、聴く分には好きだったので、自分の曲をこういうメンバーにバック演奏してもらったら・・・と妄想すると、ワクワクした覚えがある。
当時日本ではニューミュージックと呼ばれるジャンルが人気あり、それらはオシャレで洗練された作風が多かったのだが、それらの音楽にはフュージョン系のセンスの味付けが似合うことは多かった。
もちろん、「もろ」ではなく、サウンドアレンジの味付けとして。
そうすると洒落たサウンドになったからだ。
私もニューミュージックの影響は受けてたので、ニューミュージックに影響されて作った自作曲に、フュージョン系のミュージシャンにバック演奏してもらったり、アレンジしてもらったらステキだろうな・・・曲によっては、私はそんな風に思っていた。
ちなみにネットの普及で、日本でかつてニューミュージックと呼ばれたジャンルの楽曲群は、「シティ・ポップ」と呼ばれて、今は通な外国人にカルト的な人気があったりするようだ。
現に、わざわざ来日して、中古レコード店などをまわって、日本の「シティ・ポップ」のアルバムを探して買っていく外国人もいるようだ。
シティポップの洗練されたサウンドに影響を与えていたのがフュージョンだった感はあったし、そのフュージョンというジャンルでのオールスターバンドがスタッフであったことを考えると、スタッフは間接的に日本の音楽にかなり影響を与えていた・・ということになるのではないだろうか。
私にはそう思えてならない。
ともあれ、スタッフの「サンソング」。
穏やかな海が太陽の光を反射して、キラキラ輝いているような素敵な曲だと思う。
あまり「どうだ、すごいだろう?」みたいな鼻息の荒さの演奏ではなく、じっくり聴くと味わい深く染み込んできて、リスナーの気持ちを穏やかな気分にさせてくれると思う。良い意味で力が抜けているリラックス感も魅力。
そして、気軽なBGMにも出来そうなさりげなさもあって。
個人的には、ギターのこのテーマメロディーは今でもたまに口ずさむくらい好きだし、リチャード・ティーのキーボードのバッキングはサウンドをキラキラ輝かせ、包み込んでいるようで、ホント聞きほれてしまう。
コロナで殺伐とした雰囲気になりがちな今。気持ちが荒みそうな方はいるでしょう。
そして、コロナ以外でも何かの理由で寂しさや悲しさを抱えてる方もいるでしょう。
このブログに来て下さる方が、こんな曲を聴いて少しでも穏やかな気持ちになれたらいいな・・・と思っているのであります。
少しだけ、肩の力を抜いて、、、。
https://www.youtube.com/watch?v=LZG2MBr2BDI
「コロナ以外でも悲しみや寂しさを抱えている方に」
まさしく私です。
理由は、前回のコメントでお話してある通りです。
今回、紹介された音楽は、派手さや騒がしさが無いので、心身共にゆっくりしたい時に理想的ですね。
インストになっても、充分すてきなバンドです。
気がたってる人もいるでしょうし、落ち込んでる人もいるでしょう。
元気な曲もいいとは思いますが、少しでも穏やかな気持ちになれそうな曲もいいのではないかと思い、この曲を取り上げてみました。